2012 Fiscal Year Research-status Report
樹高限界決定因子の解明ー樹木水分生理学の視点からー
Project/Area Number |
23580213
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 武文 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50183158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 正文 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00444993)
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Keywords | 国際情報交換 / アメリカ合衆国 / カナダ |
Research Abstract |
【はじめに】樹木の樹高は限界は?奄美大島から西表島につらなる南西諸島の島々に分布するリュウキュウマツは、成長につれて樹冠上部の枝の上方向への伸長が止まり、横方向にのみ伸びることで、樹冠上部が扁平になる。また、宮古島に人工造林されたリュウキュウマツでは、2004年頃から樹冠上部で枝枯れが発生し、最近では1個体が枯死するリュウキュウマツも見られ、人工リュウキュウマツ林が衰退している。これら二つの原因を探るため、本年度は沖縄本島に天然分布しているリュウキュウマツの枝の水分通道特性とキャビテーション感受性を調べた。 【結果と考察】沖縄本島のリュウキュウマツの枝には宮古島で見られたような傷害跡はなく、水分通道機能は宮古島の健全マツのそれと大差なかった。比較のために測定したマツ属他樹種(アカマツ)と比較しても有意な差は認められなかった。さらに、リュウキュウマツのキャビテーション感受性についてもアカマツのそれと有意な差は認められなかった。両者は同じマツ属の樹種として同様な特性を持つことがわかった。今後、針葉の水不足に対する適応力を評価するために、水分生理に関する諸特性を解明する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工造林され、まだ衰弱していないリュウキュウマツの水分通道特性ならびにキャビテーション感受性に関しては、天然のリュウキュウマツ(沖縄本島)のそれと大差ないことがわかった。今後の方向性として、沖縄本島の天然生のリュウキュウマツの水分生理状態を調べる必要性が確認できた。さらに、平成23年度の研究成果を日本植物学会第76回大会(姫路市・兵庫県立大学)において発表し、今後の研究にとって有意義なコメントを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
沖縄本島の天然生のリュウキュウマツと宮古島の人工造林されたリュウキュウマツの水分生理に関する諸特性を比較することで、樹冠扁平メカニズムと宮古島のリュウキュウマツの衰退・枯死のメカニズムを解明するとともに、リュウキュウマツ人工林の管理指針に役立て、最終年度の取りまとめを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究で確認できた点、すなわち、沖縄本島に自生するリュウキュウマツの水分生理状態を把握するために、現地での測定と試料採取を行う。それらの試料は大学での実験に供する。ここで得られた研究結果は、海外共同研究者の一人であるカナダ・アルバータ大学のハッケ准教授の評価をあおぐ(平成24年度にカナダを訪れる予定だったが、25年度に延期した)。さらに、平成25年8月にイギリス・ロンドンで開催される国際生態学会(INTECOL2013)に参加し、研究発表を行い、考察を深める。以上より、研究の全体とりまとめに役立てる。
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Research Products
(3 results)