2013 Fiscal Year Annual Research Report
樹高限界決定因子の解明ー樹木水分生理学の視点からー
Project/Area Number |
23580213
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 武文 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50183158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 正文 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00444993)
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Keywords | 樹高限界 / 水分生理 / キャビテーション / 水分通道 / 膨圧 / 浸透調節 |
Research Abstract |
最終年度に実施した研究の成果:リュウキュウマツの乾燥に対する適応能力を検討する上で、同じマツ属であるクロマツについても乾燥に対する適応能力、特に水分通道特性について比較したところ、リュウキュウマツとの間で顕著な違いは認められなかった。カナダ・アルバート大学へ出張し、本研究課題の平成23、24年度の研究成果について海外共同研究者であるハッケ准教授の評価を仰ぎ、本研究課題の取りまとめにとって有意義な意見を得ることができた。さらに、イギリス・ロンドンで開催された国際生態学会(INTECOL2013)において研究発表を行い、当研究についての意見、評価を聴取するとともに、樹木の生理生態に関する多くの最新情報を得ることができた。 研究期間全体を通じた研究成果:リュウキュウマツ樹冠上部の扁平な箇所の針葉は夏期、しおれにいたる水分状態に近いレベルに達していた。これは、これ以上枝を伸ばすと葉への水供給に不足が生じ、しおれる限界に達していると考えられる。このことが樹冠上部を扁平にしている原因であると考えられた。特に、宮古島は土壌水分が不足しているため、マツに水不足の生じやすいことに加え、しばしば猛烈な台風が来襲する。その際、リュウキュウマツの枝が相互に擦れることで多くの枝のに傷ができており、その傷の影響は枝の木部内部にまで達していた。その箇所は水分通道機能が失われており、無傷な枝の水分通道能力の半分に低下しており、葉への水分供給量が不十分であった。このような状況で、針葉の水分状態はしおれの限界を越える状態となり、さらに枝の水分通道機能が失われることで、シュート(枝葉)が枯れることとなる。今後の気候変動、とくに温暖化にともなう乾燥が進むと、樹冠上部が扁平な箇所では枝枯れが進行、樹木の衰弱が顕著になることが予想される。
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Research Products
(5 results)