2011 Fiscal Year Research-status Report
学びと暮らしの環境における木質利用と子どもの育ちに関する基礎研究
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23580225
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
浅田 茂裕 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40272273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 啓子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80375592)
小林 大介 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00433144)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 木材利用 / 学校建築 / 木質化 / ストレス反応 / 居場所 / 質問紙調査 / 教室イメージ / 木造校舎 |
Research Abstract |
平成23年度は、学校校舎で過ごす児童・生徒の心身の状態について、室内空間の湿度、温度や生理学的な指標を用いた評価とともに、児童・生徒の空間に対する認知と校舎に対する主観的認識としての居場所の存在、日常生活における行動や習慣、および子供の内面に生じるストレス状態に着目し、建築材料、教育材料としての木材利用の効果を明らかにすることを目的として、以下の研究を実施し、検討を進めた。 まず、初年度の基礎研究として、文献調査と既往の研究の整理、国内外の比較研究を実施した。国外調査としてはフィンランドの学校建築に対する視察を行い、その状況について比較検討を行った。また、質問紙調査の対象となる学校の選定について、全国各地で建設、改修が進められた地域のうち、岩手県遠野市、栃木県茂木町、埼玉県比企郡、東京都大島町、三重県伊賀市、島根県出雲市、大分県中津市の7地区を選定し、各地の教育委員会ならびに対象として選定した71校の小中学校全てを訪問し、木造校舎、木質化校舎に対する基礎資料の収集、施設管理者、担当者に対するインタビュー調査等を実施し、学校建築についての現状と課題を把握するとともに、調査に対する合意形成を図った。 これらの基礎調査と並行して、対象となる児童・生徒、教職員に対する質問紙の作成を行った。作成した質問紙は予備調査を経て適宜修正し、平成23年10月から11月までの期間で、すべての対象校の指定学年に対する悉皆調査を実施した。最終的に調査は小中学生約7000人、教職員約1000人を対象とし、基本的な回答の入力、単純集計を終了し、現在その分析を進めている。なお、調査結果のうち、児童・生徒の学校校舎に対するイメージ調査、ストレス反応調査の結果については先行して検討を進め、学校の木質化状況の指標として提案した木質率との関係について、日本木材学会、日本産業技術教育学会等で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、初年度は資料分析等の基礎研究と国内外の状況調査、調査対象校の選定を目的としていたが、対象校、ならびに各地の教育委員会の協力もあり、具体的な質問紙調査、面接調査等が実施でき、また分析も進んだ。また予定としていた協力者数を大幅に上回る成果を挙げた一方で、入力作業等も順調に終了し、順調に分析が進めば、次年度以降では繰り返し調査の実現も可能性が高く、当初計画を大きく上回る状況となった。また、今回の調査結果について、学会等でも報告し高い評価と注目を集めており、質的にも充実した成果を挙げることができた。 以上のような状況から、本研究では申請書に記載した研究の目的が十分に達成され、当初計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、質問紙調査のような量的調査の実施とともに、学校施設関係者、教職員、児童・生徒に対する対面調査(インタビュー)、観察調査等の質的調査を並行して行うことを計画してきた。23年度では、このうち質問紙調査を概ね終了させ、学校施設関係者に対する意見聴取等を行った。今後の調査は、質問紙調査の詳細な分析とその調査結果と一致する具体的事象やインタビューから導かれる質的資料との照合を主目的として実施する予定であり、各地の調査対象校の中から数校を選定、訪問しより詳細な情報、データ収集にあたる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降については、研究が大きく計画を上回る状況となったために、学校訪問を中心とした調査旅費への研究費配分を中心に計画を進めている。基本的な機器類については十分用意することができたが、調査用シート等の消耗品、データ分析のための謝金等についても配分を行う予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 木材の消費者ニーズを探る
Author(s)
浅田茂裕、荒木祐二、井上雅文、東原貴志、仲村匡司
Organizer
第62回日本木材学会大会(札幌)(招待講演)
Place of Presentation
北海道大学
Year and Date
平成24年3月17日
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