2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580242
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東藤 孝 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (60303111)
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Keywords | 水差学 / 卵形成 / 脂質 / 生理学 / タンパク質 / 油球 / 卵黄 / 魚類 |
Research Abstract |
本研究は、サケ科魚類のカットスロートトラウトを主要なモデルに用い、魚類の卵母細胞における油球形成機構を分子レベルで明らかにすることを目的としている。前年度までに確立された、培養卵濾胞と蛍光標識・超低密度リポタンパク(VLDL)を用いた油球形成機構解析システムを用い、本年度は以下の項目について解析した。 1. VLDLから卵濾胞への脂質取り込みに及ぼす各種条件の検討:前卵黄形成期(油球期)のカットスロートトラウトから単離した卵濾胞を、蛍光標識脂肪酸で標識したVLDLと共に培養し、標識VLDLからの標識脂肪酸の卵濾胞内への取り込みに培養温度やVLDL添加量の違いが及ぼす影響を調べた。その結果、培養温度が高くなる、またVLDL添加量が多くなると共に、卵濾胞における標識脂肪酸の取り込み量が増加した。さらに様々な発達段階(油球期~卵黄形成期)にある卵濾胞における脂肪酸の取り込み量の違いを調べた結果、卵濾胞のサイズと脂肪酸取り込み量は正の相関を示し、卵濾胞が発達するにつれ脂肪酸の取り込み量が増加することが示された。 2. VLDLから卵濾胞への脂質取り込みに及ぼす各種ホルモンの影響:様々なホルモンやリポタンパクリパーゼ(LPL)阻害剤をVLDLと共に卵濾胞培養係に添加し、それらの卵濾胞への脂質取り込みに及ぼす影響を予備試験的に調べた。その結果、生殖腺刺激ホルモンや性ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、脂肪代謝ホルモン(leptin)による有意的な脂質取り込量の増加が観察されたが、インスリン様成長因子Iでは脂質取り込み量の減少が見られた。また、LPL阻害剤(OrilstatとANGPTL3)は有意に卵濾胞への脂質取り込み量を減少させたことから、VLDLから卵濾胞への脂質取り込みにはLPLが重要な役割を担っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に実験系を確立していたため、本年度は予定していた計画のほぼ全てを順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(平成25年度)も引き続き、培養卵濾胞と蛍光標識VLDLを用いた油球形成機構解析システムを用いて、詳細な解析を進める。先ずは、油球形成に関わるホルモン等の各種因子について網羅的に調べる。同時に、VLDLから卵母細胞内へ脂質が取り込まれる過程に関与すると予想される分子(リパーゼやリポタンパク受容体、脂肪酸受容体、脂肪酸輸送体など)の役割について、それぞれに対する抗体や阻害剤を用いて明らかにする。さらに、蛍光標識リポタンパクを生体内に投与する方法についても検討し、サケ科魚類以外の魚種(メダカやヨウジウオ等)を用いて、魚類における油球形成機構の共通・相違点についても調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Multiple ovarian lipoprotein receptors in teleosts.2013
Author(s)
Hiramatsu N., Luo W., Reading B.J., Sullivan C.V., Mizuta H., Ryu Y.-W., Nishimiya, O., Todo, T., Hara A.
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Journal Title
Fish Physiology and Biochemistry
Volume: 39
Pages: 29-32
DOI
Peer Reviewed
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