2013 Fiscal Year Annual Research Report
集落~旧村レベルに適した獣害対策の計画的実施方法の構築
Project/Area Number |
23580331
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
九鬼 康彰 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60303872)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武山 絵美 愛媛大学, 農学部, 准教授 (90363259)
|
Keywords | 獣害対策 / サル / イノシシ / 追い払い / 果樹園 / 意思決定モデル / 協働 |
Research Abstract |
1.水田地域でのサルの追い払い実施に向けた方針の検討(九鬼) サルの被害対策として集落ぐるみの追い払いを推進している三重県伊賀市を対象に,アンケートならびに聞き取りを行い,追い払いに取り組めない原因を把握した上で原因別に分類し,各類型に有効と考えられる行政の対応方針を検討した。具体的には全自治会長対象のアンケートよりサルの被害が深刻にもかかわらず追い払いを実施していない24集落を抽出し,該当集落の代表者に対して聞き取りを行い,意思決定の過程を著す概念モデルを援用して追い払いに取り組めない要因を整理した。その結果,要因別に集落は6つに分類でき,最も集落数の多い解決意欲が弱いグループに対しては行政主導での研修の実施による意識改善が,また被害地が偏るグループでは被害を受けていない住民に対する意識改善の働きかけが,さらに追い払いに否定的な考えが主要因にあるグループでは間違った追い払いの知識を払拭することが,それぞれ方針として示された。 2.果樹地域での対策に係る継続的実施方法と計画単位の検討(武山) 愛媛県松山市宇和間地区を対象に,樹園地における獣道調査やセンサーカメラを用いた動物の出没モニタリング,土地利用及び柵の設置状況調査を関係者の協働で実施した。獣道調査により尾根付近がイノシシの主な移動コリドーや出産場所であると確認でき,住民間で知識が共有された結果,団地単位で柵を設置する対策が進んだ。また,イノシシの出没モニタリングは住民によるイノシシの行動の把握に役立ち,対策へのモチベーションの維持に寄与したと考えられた。以上により,住民自らによる現状把握,およびイノシシの出没モニタリングは,適切な単位での獣害対策を継続的に引き出すことに寄与することが明らかになった。加えて樹園地地域では,尾根と谷で形作られる斜面単位で獣害対策を検討することの重要性が明らかになった。
|
Research Products
(3 results)