2011 Fiscal Year Research-status Report
地域洪水頻度解析に基づく確率洪水比流量曲線の推定に関する研究
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23580336
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近森 秀高 岡山大学, 環境学研究科, 准教授 (40217229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 明博 岡山大学, 環境学研究科, 教授 (80093285)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 洪水 / 危機管理 / 確率 / 洪水比流量曲線 / 地域頻度解析 |
Research Abstract |
平成23年度は,地域洪水頻度解析を行う上で重要な降雨の頻度解析について,岡山県を対象に,Hoskingらが提案した地域頻度解析の手法を用いて,確率日雨量を推定する方法を検討した。地域頻度解析は,降雨特性の類似した複数の観測点におけるデータを用いて統計解析を行う手法であり,観測期間が短い場合や,近年の気候変動を考慮して対象期間を短くしなければならない場合など,解析に利用できる年最大値データの数が限られる場合に有効な手法であるが,特定の地点ではなく,洪水流出に寄与する空間的領域を対象とする場合に有効であると考えられる。 ここでは,地域頻度解析法を岡山県内の33カ所の雨量観測点における29年間の年最大日雨量データに適用して100年確率日雨量の推定を行い,地点頻度解析法による推定値との比較により,その実用性について検討した。その結果,岡山県で地域頻度解析を行うためには,Hoskingらが提示した基準よりも細かい地域分類をする必要がある可能性があること,適切な地域分類により地点頻度解析と同様の推定結果が得られること,bootstrap法による検討の結果から地点頻度解析法よりも推定値の信頼区間が小さく不確定性が低いことが示された。 また,岡山県内における検討結果に基づき,全国155地点の地上気象観測所を対象に地域分類を行い,確率日雨量の推定を行った。対象観測点を8地域に分類し地域頻度解析による30年確率日雨量の推定を行った結果,地点頻度解析による推定値と地域頻度解析の結果には大きな差が見られること,本研究の地域分類結果が角屋・永井による洪水比流量推定式で用いられる地域分類図にいくつかの点で類似していること,bootstrap法による検討の結果から,岡山県での検討結果と同様に,地点頻度解析法よりも推定値の信頼区間が小さく不確定性が低いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究での検討事項に,豪雨時の雨量の時空間分布の統計的特性と,これに基づく確率面積雨量推定手法の開発があるが,本年度の検討は,これらの検討を,地点観測雨量を対象に,地域頻度解析の手法を用いて行ったものである。この結果により,地域頻度解析の手法が降雨パターンの類似した地域における雨量の極値解析に有効であることが示され,確率洪水比流量曲線の推定する上で有用であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
主に,吉井川流域を対象に,レーダー雨量計データなどの高解像度の空間分布型雨量データに,本年度検討した地域頻度解析の手法を適用して,確率面積雨量の推定を行う。また,これに基づくDAD関係から確率洪水比流量曲線を推定する手法について理論的検討を行い,これを吉井川流域に適用して観測流量との比較を行う。 これらの結果に基づいて,日本全国を対象とした確率洪水比流量曲線を描くことを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最新のレーダー雨量計データおよびこれらのデータ処理のために必要な外部記憶装置等,主にデータの解析に必要な物品の入手に使用する。また,研究成果発表のための旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)