2012 Fiscal Year Research-status Report
地域洪水頻度解析に基づく確率洪水比流量曲線の推定に関する研究
Project/Area Number |
23580336
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近森 秀高 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (40217229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 明博 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (80093285)
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Keywords | 洪水 / 危機管理 / 確率 / 洪水比流量曲線 |
Research Abstract |
平成24年度は,洪水比流量曲線の統計的意味を明確にすることを目的として,岡山県の高梁川,旭川,吉井川の各流域における1988~2011年のレーダー雨量計データを用いたDAD解析を行い,これに基づいて確率洪水比流量曲線を求め,角屋・永井(1979)による洪水比流量曲線式および,流量年表(1938~2004年)等から得られた岡山県を含む中四国地域内の各地点における既往最大比流量と比較した。 改良雨量固定法によって得られたDA関係から,面積ごとに面積雨量の年最大値を抽出し,これらに適合させた一般化極値分布を用いて任意の確率年に対応する確率面積雨量を求めた。一般化極値分布のパラメータはL積率法により求め,確率年は10,20,50,100,200年とした。確率洪水比流量曲線式は,まずDAD式が確率面積雨量を平分するようにRosenbrock法でパラメータを推定し,これを用いて求めた。この結果,10~50年確率洪水比流量曲線は実測値を包絡できなかったが,100年,200年確率の曲線は,面積最大雨量に基づく洪水比流量曲線と同程度に包絡した。 しかし,求められた確率洪水比流量曲線は,面積最大雨量に基づく洪水比流量曲線の場合と同様に小規模流域では比流量を過大推定する傾向が見られたため,この傾向を改善するため,面積雨量の空間的発生率を考慮した確率洪水比流量曲線の推定を行った。まず,確率面積雨量に基づくDAD式のパラメータを用い,面積雨量の非超過確率が100,99,98,95,90%の洪水比流量曲線を推定した。得られた200年確率洪水比流量曲線は,高梁川および吉井川流域で98%,旭川流域で95% の非超過確率を採ったときに適合度が高く,これらの曲線では,小規模流域における過大推定の傾向が軽減され,角屋・永井(1979)が提案した洪水比流量曲線式と同程度に実測値を包絡した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,交付申請書に示した研究計画のとおり,高梁川,旭川,吉井川の各流域における確率洪水比流量曲線の推定を行っており,本研究の目的は達成できている。ただし,DA曲線の近似精度にはやや問題があり,この点についてはさらに検討が必要である。全般的には,これまでのところ,研究計画は順調に遂行できていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の検討課題としては,DA曲線の精度の改善,他の流域における確率洪水比流量曲線の推定が挙げられる。また,この手法を,地域気候モデルの出力である将来の予測雨量時系列に適用して将来の洪水比流量曲線を推定し,将来の洪水比流量の変化を予測することを検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最新のレーダー雨量計データ,地域気候モデルの出力結果およびこれらのデータ処理のために必要な外部記憶装置等,主にデータの解析に必要な物品の入手に使用する。また,研究成果発表のための旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)