2011 Fiscal Year Research-status Report
家畜飼料からの強抗酸化物質"エルゴチオネイン"の検索と赤肉内抗酸化能の検証
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23580364
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 敏能 山形大学, 農学部, 教授 (70113959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貫名 学 山形大学, 農学部, 教授 (20113970)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | タモギタケ / エルゴチオネイン / 廃菌床 / 抗酸化作用 / 発酵TMR / 赤肉 / 鮮度保持 / 栄養価 |
Research Abstract |
高橋敏能担当分:タモギタケ廃菌床発酵TMR(完全混合飼料)の発酵品質と反芻家畜における栄養価を検証するために以下の実験を実施した。各種食品残渣を素材として稲わらを対照粗飼料とし、タモギタケ廃菌床を試験粗飼料として4種の発酵TMRを調製した。粗濃比を4:6(乾物比)とし、タモギタケ廃菌床は、無添加、難消化性繊維性成分の消化率を向上させるために尿素5%(乾物比)添加および豆腐粕の30%(乾物)をタモギタケに置き換えた廃菌床TMRの3種を調製した。その結果、V-スコァは、稲わら発酵TMRは98点と良好だったが、タモギタケ廃菌床発酵TMRは酪酸が検出されたこと、揮発性塩基態窒素/総窒素比が高い傾向だったことから、稲わら発酵TMRより低くなった。特に、タモギタケを配合した発酵TMRは59点と劣質なサイレージだった。ヒツジ4頭を供試した4×4のラテン方格法による全糞採取法(調製したタモギタケ発酵TMR給与時の軟便気味だったので、粗濃比5:5(乾物比)になるように稲わらを添加して給与)による発酵TMR消化試験の結果、可消化養分総量(乾物%)は、稲わら66、無添加タモギタケ廃菌床59、尿素5%添加タモギタケ廃菌床59およびタモギタケ+タモギタケ廃菌床49と、稲わら発酵TMRより有意にタモギタケ廃菌床発酵TMRは栄養価が有意に低くなった。また、尿素添加により、粗タンパク質と中性デタージェント繊維消化率は有意に高くなったが、栄養価を改善しなかった。貫名学担当分:各消化試験時の翌日に採取した血液(赤血球)中のエルゴチオネインの測定方法を検討した結果、メルカプトエタノールで還元的に処理した後、遠心分離した上清液を逆相の前処理用ODSカラムに通液し、得られたサンプルをHPLC用のC30カラムを用いてエルゴチオネインを定量し、各処理血液中のエルゴチオネイン濃度を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タモギタケ廃菌床発酵TMRの発酵品質と反芻家畜における栄養価は解明出来たが、血液(血漿)中の抗酸化能を検証するためのTBARSの測定が遅れている。また、エルゴチオネイン(ERT)の分析方法はほぼ確立したが、タモギタケ廃菌床に痕跡程度のエルゴチオネインが含まれていることを確認するに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒツジ8頭を使用して稲わら発酵TMRを対照飼料にして、タモギタケ廃菌床発酵TMRを試験飼料にした3ヶ月間程度の肥育試験を実施する。肥育試験終了後、と殺解体してタモギタケ廃菌床給与による赤肉の鮮度保持を検証する。同時にタモゴタケ廃菌床のERT濃度、および赤肉内のメトミオグロビン含量と血液のTBARS濃度を測定し、ERTと赤肉の鮮度保持効果との関係を追求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、ヒツジを用いた肥育試験を実施するためにヒツジの購入費、と殺解体後の肉質の分析費、血液諸成分の分析用試薬・器具機材費、学生等アルバイトの賃金および旅費等に研究費を使用する予定である。
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