2013 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動モデルを用いた心房筋におけるチャネル分子背景の加齢性変化の解析
Project/Area Number |
23580421
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 公一 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50330874)
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Keywords | 心房細動 / 病態モデル動物 / 加齢 / イオンチャネル |
Research Abstract |
心房細動は加齢性に依存して発生率が上がる代表的な不整脈であり二次的に脳梗塞や心筋梗塞等を引き起こすことが多いため、臨床的に非常に重要な疾患である。しかしながらその発症機序の詳細は多くの点で明らかになっていない。このため、小型実験モデル動物を用いた研究が待ち望まれている。本研究はラットを用いて心房細動を誘導し、その際に加齢性に発現量に変化が見られるチャネル分子を中心にその分布と心電図との対応関係を解析することによって心房細動の発症機序を分子レベルで理解することを目的としている。 これまで、経食道電極を用いての頻回刺激により作製した心房細動モデルラットの有用性を検討し、この動物モデルがヒトの心房細動と共通する発症メカニズムを持っており老齢動物において心房細動が起きやすい器質があること、さらに心房に加齢依存的に発現しているIKAChチャネルが心房細動の発生に大きく関与している可能性が示唆された。本年度はIKAChチャネルの薬理作用の検討を終えた後、心房細動発症のもう一つの重要なファクターと考えられているギャップ結合が関与する可能性を検討した。心房に発現しているコネキシン40、43、45はギャップ結合を構成するが、この発現量を解析したところコネキシン43のみ加齢依存性に減少することが明らかになった。しかしながらギャップ結合を特異的に阻害するカルベノキソロンを静脈内投与した後に経食道頻回刺激を行って心房細動を誘発したところ、その発症率及び持続時間に全く影響を与えなかった。これらのことから、心房細動を誘発するとされるリエントリーと呼ばれる興奮旋回は、本モデルにおいてはギャップ結合とは別の機構で起こっていることが示唆された。この結果は学術論文に投稿中である。 現在行っている心房細動と糖尿病との関連の検討を含め、これらの成果は心房細動の機序解明に大きく役立ち、将来的に臨床応用への可能性を拓くものと考えられる。
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Research Products
(1 results)