2013 Fiscal Year Research-status Report
南九州の豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス株の遺伝子解析と持続感染様式の解明
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23580425
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平井 卓哉 宮崎大学, 農学部, 准教授 (60321668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 良二 宮崎大学, 農学部, 教授 (90150169)
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Keywords | 豚 / 豚繁殖・呼吸障害症候群 / 南九州 / ウイルス / 持続感染 / 病理学 |
Research Abstract |
豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)対策で最も大事なポイントは、「繁殖母豚から子豚への感染を抑えること」である。繁殖母豚のPRRS免疫を安定・持続化させるためには、繁殖候補雌豚に免疫を賦与させ、ウイルスを排泄していない状態で繁殖母豚群に繰り入れる必要がある。したがって、繁殖候補雌豚の適切な馴致が本対策の最大のカギとなる。本研究では、繁殖母豚または繁殖候補雌豚におけるウイルス動態、感染臓器、南九州におけるウイルス株の遺伝子性状を明らかにすることである。昨年度は、母豚において扁桃がPRRSウイルスの増殖の場として重要であることを明らかにした。感染細胞の一部は口腔内に脱落し、口腔液検査で検出されることが示唆された。 今年度は対象農場において導入したPRRSウイルスフリーの繁殖候補雌豚より経時的に口腔液を採取してウイルス動態を明らかにし、本検査の有用性を検討した。その結果、PRRSウイルスは導入後3週で口腔液より検出され、導入後11週で検出されなくなった。また、導入後4週および導入後5週の死亡豚を検査したところ、扁桃よりPRRSウイルスが検出された。次に鹿児島県内の複数農場にて発育不良豚を検査したところ、多くが豚呼吸器複合感染症と診断され、肺よりPRRSウイルスが検出された。また、ORF5遺伝子に基づく北米型PRRSウイルスの分子系統樹解析を行ったところ、日本国内のPRRSウイルス株のクラスターIVに分類された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はほぼ予定通り進行している。ウイルス動態およびウイルス感染臓器や感染細胞を明らかに、口腔液検査法の有用性を示した。また、これらの成果は学会にて発表し、国際雑誌に受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
1)前回と同様に対象農場において繁殖候補雌豚におけるウイルス動態を口腔液と血清を用いて経時的に調べる。繁殖候補雌豚はPRRSフリーのSPF豚であり、PRRS陽性農場である対象農場に導入予定である。これらの繁殖候補雌豚において口腔液にウイルスを排泄する時期およびウイルス血症を起こす時期を明らかにする。また、口腔液と血清でウイルスが陰性になる時期を調べる。また、繁殖候補雌豚が死亡した場合にはウイルスの局在部位を明確にする。 2)前回、繁殖母豚群に繰り入れた繁殖候補雌豚におけるウイルス動態を上記と同様に口腔液と血清を用いて経時的に調べる。 3)鹿児島・宮崎両県の養豚場における病豚の肺炎を検査し、ウイルス株の遺伝子性状を明らかにする。シークエンス解析をもとに、南九州におけるウイルス流行株の特徴を明らかにする。
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Research Products
(6 results)