2012 Fiscal Year Research-status Report
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23580466
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
堀田 光生 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 主任研究員 (10355729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北本 宏子 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 上席研究員 (10370652)
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Keywords | バイオエタノール / 土壌消毒 / 土壌還元 / 土壌微生物 / 有機成分 |
Research Abstract |
1.植物バイオマスからエタノール発酵により回収したバイオエタノール溶液の土壌消毒効果 農耕地土壌には多種の土壌伝染性病害虫が存在するため、これら病害虫に汚染された畑地土壌に、植物バイオマスから作製したバイオエタノール溶液を用いて土壌消毒試験を行い、その効果を確認した。国内産飼料イネホールクロップを材料にエタノール発酵させたものから、バイオエタノール溶液を簡便に回収する方法を開発し、所定のエタノール濃度に希釈して消毒処理後、土壌中のトマト萎凋病菌、トマト青枯病菌の生残数を測定した。その結果、バイオエタノールで処理した試験区では、精製エタノール等で処理した区と同程度以上の消毒効果がみられた。特に、地温が低く消毒効果が安定しないとされてきた時期(10~11月)に処理した場合でも明確な効果がみられた。 2.バイオエタノール溶液処理による土壌消毒メカニズムの解明 バイオエタノールによる土壌消毒メカニズムを明らかにするため、バイオエタノール溶液処理後の土壌特性、エタノール等有機成分の代謝および土壌微生物相の変化について解析した。その結果、処理直後より土壌中の酸化還元電位およびpHが速やかに低下し、還元状態が形成、維持されていた。エタノール等の成分は短期間に代謝されて有機酸が多量に蓄積し、その後有機酸が徐々に分解して還元状態が解除された。酸化還元電位低下時および有機酸の蓄積時に、土壌中の特定の微生物群が急速に増殖したことから、これら微生物が土壌消毒効果と密接に関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初に予定していた①畑地土壌でのバイオエタノールの土壌消毒効果、および②バイオエタノールの土壌消毒メカニズムの解明、に関する試験を進め、想定以上の成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオエタノールを用いた土壌消毒では、土壌中の特定の微生物群が病害虫に対する消毒効果に密接に関与していることが考えられ、これら微生物種を同定し、その生物的機能や消毒効果に対する役割を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
バイオエタノール添加後の土壌微生物相の変化(PCR-DGGE解析)、微生物種の同定・単離(シーケンス解析等)、土壌特性の変動(エタノール・有機酸等の代謝、酸化還元電位の変化等)などの調査に必要な物品(消耗品)、試薬を購入し、使用する。
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