2011 Fiscal Year Research-status Report
チオアミドを活用するダイレクト型触媒的不斉C-C結合形成反応と医薬品合成への応用
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23590038
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
熊谷 直哉 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所・有機合成研究部, 主任研究員 (40431887)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不斉合成 |
Research Abstract |
本研究では、チオアミドの特異なルイス塩基性を利用した新規触媒的不斉反応の開拓を主眼としている。チオアミドを求核種前駆体とする触媒的不斉ダイレクトアルドール反応において、市販化合物からの簡便な混合による改良型触媒調製法の開発に成功し、反応の実用性を大きく改善することができた。本反応は、高脂血症治療薬リピトール、抗うつ薬デュロキセチンの短工程簡便合成法へと応用展開させることに成功し、反応機構・実用性の両面で本触媒方法論の妥当性を客観的に示すことができた。また、同系統のチオアミドを求核種前駆体とする不斉共役付加反応の開発に成功し、種々のキラル環式化合物群の合成法を提供する事ができた。 一方、不飽和チオアミドを共役付加受容体として用いる反応においても、種々の求核種前駆体を用いるダイレクト型反応を見いだす事ができた。アリルシアニドを用いる反応においては、排他的にγ付加体のみを生成することが確認され、得られた生成物は酸化的条件において一工程でイソキサゾール誘導体へと変換できる事が確認された。本合成手法は、既知の方法論とは異なる反応パターンを有するイソキサゾール構築法であり、合成化学的価値が高い。続いて、ニトロアルカンを求核種前駆体とする触媒的不斉ダイレクトアルドール反応の開発を行い、高いジアステレオ・エナンチオ選択性にて生成物が得られる事を見いだした。 さらに、ソフトーソフト相互作用をキーワードにα-スルファニルラクトンを求核種前駆体とする触媒的不斉ダイレクトアルドール反応の開拓を行った結果、高い立体選択性・収率を発現する協奏触媒系の同定に成功した。本反応はserine palmitoyl transferase阻害剤群の短工程触媒的不斉合成に応用可能で、現在も鋭意検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ソフトルイス塩基性官能基を有する基質の新規不斉触媒反応開拓において、当初の想定以上の新規反応開発に成功している。本成果が国際的な学術誌に掲載されていることから、研究の進展を客観的に評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
ソフトーソフト相互作用をキーワードに、α-スルファニル型求核種前駆体・フォスフィンスルフィドを有する基質を用いる新規不斉触媒反応の開拓を引続き行い、重要医薬品・医薬品候補化合物群の短工程不斉合成へ応用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
想定以上に研究が進展しているため、試薬等消耗品費は今年度に集中的に計上しており、次年度は成果発表費等の計上を想定している。
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