2011 Fiscal Year Research-status Report
高等真核生物の染色体安定化を司る新規RNA干渉複合体DRH-3・E1の機能研究
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23590074
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
浴 俊彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40192512)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヘリカーゼ / 線虫 / RNA干渉 |
Research Abstract |
高等真核生物におけるRNA干渉を介した染色体動態制御機構の解明を目指して、独自に発見した線虫ヘリカーゼ様タンパク質DRH-3、およびDRH-3と相互作用することを見いだしたE1タンパク質に関して、本年度は下記の研究を実施し、結果を得た。1.DRH-3とE1タンパク質の発現・精製と生化学的性状解析:両タンパク質の大腸菌発現系を構築し、発現と精製条件の検討を行った。共にポリヒスチジンタグ融合タンパク質として発現し、アフィニティ精製することが可能であることを実証した。2.DRH-3・E1複合体と相互作用するタンパク質の探索と同定:酵母two-hybrid解析による線虫RNA干渉因子間の相互作用解析を進めた。またプルダウンアッセイに用いる(DRH-3, E1以外の)被験タンパク質を調製するために、大腸菌発現コンストラクトの作成と発現条件の検討を実施した。完全長cDNAが得られていない3遺伝子(dcr-1, rrf-3, ego-1)については、RT-PCRによる欠損cDNAの回収を進め、ego-1についてはほぼ全長のcDNAを増幅することができた。3.DRH-3とE1タンパク質の変異体作成および細胞内局在解析:DRH-3について、欠失およびアラニン置換変異型遺伝子の作成を開始し、これまでに2種類のアラニン置換変異型遺伝子を構築した。E1についても、相互作用ドメインの解析に必要な欠失遺伝子の作成を進めている。ヒト培養細胞におけるGFP融合E1タンパク質の発現を実施した結果、核付近に凝集したシグナルが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.DRH-3とE1タンパク質の調製については、計画通り大腸菌発現系を用いた両タンパク質の発現・調製に成功した。2.変異型遺伝子の作成については、drh-3, E1遺伝子とも欠失変異遺伝子の作成が順調に進んでおり、またアラニン置換型drh-3遺伝子も2種類構築を完了している。3.タンパク質間相互作用解析についても、未解析の線虫RNA干渉関連遺伝子の酵母two-hybrid解析を進めながら、完全長cDNAクローニングを進めた(5 kbを超える3遺伝子については未達成)。4.細胞内でのGFP融合E1タンパク質の発現解析についても実施し、結果を得ている。 以上、 本年度研究計画に記載した内容と照らし合わせると、いずれについてもほぼ計画通りに実施されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、基本的に申請時の研究計画に準拠して実験を実施するが、本年度、DRH-3, E1両タンパク質調製法が確立され、変異型遺伝子の作成も順調に進みつつあることから、(異種である)ヒト培養細胞での発現実験を含めた細胞生物学的解析から、精製タンパク質を用いた生化学的解析に重点を移して研究を推進する方針である。具体的には以下の項目について研究を実施する予定である。1.DRH-3とE1タンパク質の生化学的解析:精製したDRH-3タンパク質を用いて、核酸依存性ATP分解酵素活性と核酸結合性について、非RIによるアッセイ系を確立しながら解析を実施する。同時に変異型drh-3遺伝子の作成を進め、同様にアフィニティ精製した変異型DRH-3タンパク質を調製して比較解析を行うことで構造的な側面から生化学的機能部位の同定を開始する。E1タンパク質については、Tudorドメインの役割を検討するため、精製タンパク質を用いて、メチル化ヒストンとの結合性について、ビオチン標識ヒストンペプチドを用いたプルダウン法により検証を試みる。また必要な変異型E1タンパク質を調製する。2.DRH-3とE1との相互作用部位の解析:今年度確立した手順に従い、大腸菌から調製した両タンパク質および欠失変異型タンパク質を大腸菌で調製し、これらを用いてプルダウン法による相互作用ドメインの同定を開始する。他のRNA干渉関連タンパク質についても、酵母two-hybrid解析のために必要な(dcr-1, rrf-3, ego-1を含む)完全長cDNAクローンなど遺伝子材料の構築を進める。3.E1遺伝子機能抑制の表現型解析:feeding RNAiによるE1遺伝子機能抑制によって線虫に引き起こされる表現型を分析し、これまでに明らかにしたDRH-3機能抑制表現型との比較検討を行う。
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Research Products
(9 results)