2012 Fiscal Year Research-status Report
高等真核生物の染色体安定化を司る新規RNA干渉複合体DRH-3・E1の機能研究
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23590074
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
浴 俊彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40192512)
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Keywords | ヘリカーゼ / 線虫 / RNA干渉 |
Research Abstract |
高等真核生物におけるRNA干渉による染色体動態制御機構の解明を目指して、独自に発見した線虫ヘリカーゼ様タンパク質DRH-3、およびDRH-3と相互作用することが示唆されたE1タンパク質等に関して、本年度に実施した研究内容と結果を以下に示す。 1. DRH-3とE1タンパク質等の生化学的解析:DRH-3タンパク質を用いてATPaseアッセイ系に関する条件検討を行った。生化学的解析および機能ドメイン解析のための5種類の変異型drh-3遺伝子(C1007A/C1010A, G802E, G840D, T834M, Ndel 370-1119)を作製した。3種類のポリヒスチジンタグ融合変異型DRH-3タンパク質(G802E, T834M, G840D)を大腸菌にて発現させてアフィニティ精製を試みたが、野生型DRH-3より可溶性画分の回収量は大きく低下した。E1タンパク質についてはGSTタグおよびポリヒスチジンタグとも融合タンパク質として精製を行い、メチル化ヒストンとの結合実験のための基礎的な条件検討を行った。また今年度新たにDRHの機能比較のため、DRH-3パラログ(DRH-1)のタンパク質発現を試みたが、発現した殆どのポリヒスチジンタグ融合DRH-1は不溶化した。 2. DRH-3とE1との相互作用部位の解析:プルダウンアッセイによりDRH-3とE1タンパク質間の相互作用を詳細に解析するため、大腸菌発現系による欠失変異型タンパク質の調製を行った。E1タンパク質について、2種類のポリヒスチジンタグ融合Tudorドメイン欠失型タンパク質の作製、発現、精製を行ったが、不溶化のため回収困難であった。野生型タンパク質同士についてはプルダウン法で相互作用を検証している。 3. E1遺伝子機能抑制の表現型解析:E1遺伝子機能抑制に必要なfeeding RNAi用コンストラクトを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. DRH-3とE1タンパク質の生化学的解析についてはアッセイ系の検討をほぼ完了し、3種類の変異型DRH-3タンパク質および2種類の欠失変異型E1タンパク質の発現・精製実験を予定通り実施した。さらにDRH-3との機能比較のため、新規にDRH-3パラログ(DRH-1)についても発現・精製を行った。 2. DRH-3とE1との相互作用部位の解析についてはプルダウンアッセイ系を確立し、野生型タンパク質同士の相互作用については検証を進めている。作製した2種類のドメイン欠失変異型E1タンパク質は不溶化のため精製が困難であったため、E1タンパク質の相互作用ドメインの解析までには至らなかった。 3. E1機能抑制表現型の解析に必要な発現コンストラクト調製を完了した。 以上のとおり、発現タンパク質の不溶化など予期せぬ問題が生じた部分はあるが、DRH-1への新たな研究展開も追加し、本年度研究計画に記載した内容についてはほぼ計画通りに実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、基本的に申請時の研究計画内容に準拠して実験を計画するが、本年度、生化学的解析や相互作用ドメイン解析の準備が進んだことから、抗体染色などの細胞生物学的解析や表現型解析より、野生型および変異型DRH-3, E1タンパク質の調製とそれらを用いたタンパク質機能解析を重点的に研究を推進する方針である。具体的には以下の2項目を中心に研究を実施する。 1. 野生型および変異型DRH-3とE1タンパク質の生化学的解析:野生型タンパク質とは異なり、ポリヒスチジンタグ融合変異型タンパク質の多くが不溶化する問題を生じたことから、発現条件の最適化を行うとともに、GSTタグのような高可溶性タグ融合タンパク質での発現・精製を試みる。そのために必要なGateway対応の発現ベクターを新たに構築する。精製したDRH-3タンパク質を用いて、核酸依存性ATP分解酵素活性と核酸結合性について解析を実施する。特に本年度作製した5種類の変異型DRH-3のうち3種類はin vivoで単離された線虫突然変異体に由来しており、精製標品が得られ次第、これらの生化学的な機能的変異を同定する。E1タンパク質については、欠失型ではなく点変異によるTudorドメイン変異型E1遺伝子を作製し、変異型E1タンパク質の発現・精製を試みる。野生型および変異型E1タンパク質を用いて、メチル化ヒストンとの結合性についてプルダウン法による検討を行う。 2. DRH-3とE1との相互作用部位の解析:大腸菌から調製した両タンパク質および上記項目1で調製した欠失変異型タンパク質を用いてプルダウン法による相互作用ドメインの同定を行う。他のRNA干渉関連タンパク質についても発現コンストラクトを作製しプルダウン法により相互作用の有無を検証し両者を含む複合体の実体解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)