2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23590086
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
柳川 芳毅 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (20322852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 眞知子 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (70229574)
富樫 廣子 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (20113590)
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Keywords | ストレス / アドレナリン受容体 / REDD1 / トランスグルタミナーゼ2 / マクロファージ / 樹状細胞 / 免疫制御 |
Research Abstract |
本研究課題では,免疫系と神経系で働く新しい分子機構の解明を目的とし,アドレナリン受容体を介した免疫制御機構に着目した研究を展開している.平成24年度までに,ストレス関連カテコラミン(ノルアドレナリンやアドレナリン)が,樹状細胞やマクロファージにおいて,アレルギー増悪因子であるインターロイキン-33(IL-33)の発現を劇的に上昇させることを見出した.平成25年度では,ストレス関連カテコラミンのマクロファージ機能に対する作用について,さらなる解析を進め,アドレナリン受容体を介したシグナルが,マクロファージ機能を多彩に制御していることを見出した.まず第一に,最近注目されている抗ウイルス分子REDD1 (regulated in development and DNA damage responses-1) の遺伝子発現が,ノルアドレナリンやアドレナリンの処理によって,短時間で著しく上昇することを見出した (Yanagawa et al., Immunol. Lett. 2014). この現象は,短期ストレスが生体防御系を増強する事を示唆していると考えられる.一方,創傷治癒や組織修復に関与している酵素であるトランスグルタミナーゼ2の発現が,ノルアドレナリンやアドレナリンの処理により著しく上昇することを見出した (Yanagawa et al., Immunobiology in press. 2014).この現象は,ストレス下における組織修復の過程において重要な制御機構であると考えられる.また,トランスグルタミナーゼ2の過剰な発現が,炎症性疾患や線維症の原因となることが報告されていることから,今回の発見は慢性ストレスとこれらの疾患との関係を明らかにする手がかりとなり,新たな治療戦略につながる可能性がある.
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