2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田川 優子 (坂井 優子) 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40178538)
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Keywords | 新型インフルエンザ / 薬剤耐性 / サーベイランス / 抗インフルエンザ薬 / インフルエンザウイルス / NA阻害剤 |
Research Abstract |
新型インフルエンザは突然現れ、世界を震撼させる。今では季節性インフルエンザとなったが2009年メキシコで発生した豚インフルエンザもしかりである。そして、この2013年春、中国においてH7N9ウイルスによる人への感染が報告され、今でも感染者が続出しており、サーベイランスの強化が必要である。インフルエンザ対策は早期発見早期治療が重要であり、また、抗ウイルス薬の投与によって耐性ウイルスが出現する可能性にも注視しておかねばならない。 突然の新型インフルエンザ出現に備えて、既存のウイルスの早期発見や耐性ウイルスについて熟知しておくことが重要であると考え、今年度も多くの病院から得られた臨床検体からウイルスを分離し、その性状解析を行い、さまざまな知見を集めることを目的として研究を行った。 今年度はまず、2011/12シーズンの患者検体約300からのウイルスの分離及びウイルスRNAの抽出を行った。AX-4細胞の使用によってほとんどの検体からウイルスを分離することができ、RNAのサブタイプ決定PCRによって、H1pdmはほとんど流行しておらず(0.1%以下)、H3N2型が63%、B型が37%であることが分かった。 さらに新型インフルエンザの迅速な対応として、中国よりH7N9ウイルスの分与を受け、性状解析を行った。 さらにこのH7N9ウイルスや近年流行している季節インフルエンザの各サブタイプ、アジアではいまだに蔓延の続いているH5N1ウイルスについて、入手可能なインフルエンザ迅速診断キットを20種類以上購入し、感受性を調べた。感受性はキットによって10倍から100倍までの開きもあるがすべてのキットがH7N9を検出できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では得られた変異ウイルスをフェレットなどに感染させ、フェレットにおける病原性や得られたウイルスの性状解析をする予定であったが、臨床検体中からは今までにない変異を検出することはできていないため、動物実験は進めていない。 一方、2013年春に中国で人への感染が報告されたH7N9ウイルスについて、国立感染症研究所を通じて分与を受け、ウイルスの性状解析を行った。新型インフルエンザ出現時における対応として、今回の研究にも加えたため、研究内容が拡大した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型インフルエンザウイルスはいつ、どのように発生するかはわからない。我々は常にサーベイランスをする必要がある。そのサーベイランスの方法は簡便で正確であることが求められる。研究期間中に発生した新型インフルエンザウイルスの解析は研究目標に合致するところがあり、今後も追加対応していく予定である。 簡便で正確なサーベイランスのためにも検体からのウイルスの検出の方法も開発する必要があるため、迅速診断キットだけでなく、簡便なリアルタイムRT-PCRの方法も検討する。 なお、薬剤耐性の新規の変異が見つからない場合は動物実験は行わない。
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Research Products
(3 results)