2011 Fiscal Year Research-status Report
金属原子導入による有機化学物質の毒性修飾とその分子機構
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23590156
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
山本 千夏 北陸大学, 薬学部, 准教授 (70230571)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ビスマス / アンチモン / ハイブリッド分子 / 有機金属化合物 / 毒性 / 内皮細胞 / ジーントラップ法 |
Research Abstract |
1.ビスマスおよびアンチモン導入による有機化合物の毒性修飾: 有機ビスマス/アンチモン化合物ライブラリーを構築し,ウシ大動脈内皮細胞に対する毒性を調べ,ビスマスを導入した場合は毒性を示すがアンチモンを導入した場合では毒性を示さない化合物(PMTABiおよびPMTASならびにDAPBiおよびDAPSb)の抽出に成功した。アンチモンを導入した場合は毒性を示すがビスマスを導入した場合では毒性を示さない化合物は存在しなかった。この2組の化合物対の細胞毒性をウシ大動脈平滑筋細胞,ヒト胎児肺由来IMR-90線維芽細胞,およびブタ腎由来LLC-PK1上皮細胞についても調べたところ,内皮細胞と同様の結果を得た。2.細胞内への蓄積性: 有機ビスマス/アンチモン化合物の細胞内蓄積量をICP/MSを用いてビスマスおよびアンチモン量として測定した。有機ビスマス化合物であるPMTABiおよびDAPBiは細胞内に高く蓄積したが,有機アンチモン化合物であるPMTASおよびDAPSbの蓄積はわずかであった。すなわち,細胞内への蓄積が毒性の強さを決定する有力な要因の1つであることが示唆された。3.X線結晶構造解析: X線結晶構造解析の結果,上記有機ビスマス化合物とそれに対応するアンチモン置換体の三次元構造の違いはわずかであることが分かった。したがって,ビスマスおよびアンチモン化合物の血管内皮細胞に対する毒性の差が,三次元構造の違いによるものではないことが示唆された。4.ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いた解析: ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーからPMTASに対しては抵抗性を示すが,PMTABiに対しては感受性である細胞のクローニングを行い,CHO-RPB1細胞の単離・獲得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有機ビスマス/アンチモン化合物ライブラリーから,ビスマスを導入した場合は毒性を示すがアンチモンを導入した場合では毒性を示さない化合物(PMTABiおよびPMTASならびにDAPBiおよびDAPSb)の抽出に成功した。また,ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いた解析において,PMTASに対しては抵抗性を示すが,PMTABiに対しては感受性であるCHO-RPB1細胞のクローニングに成功した。これらは重要な研究成果であったが,クローニングの実験に予想以上に手間取り,DNAマイクロアレイによる遺伝子発現の網羅的解析に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)予定通り,内皮細胞(ヒト冠動脈内皮細胞)について,DNAマイクロアレイによる遺伝子発現の網羅的解析を行う。2)CHO-RPB1細胞について,その特性を調査する。具体的には,親株(CHO-K1細胞)と比較しながら,他の有機ビスマス化合物に対する交差耐性や有機ビスマス化合物の細胞内蓄積性などを解析する。3)CHO-RBP1細胞より,トラップ(同時に破壊)された遺伝子の同定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の実験に必要な消耗品および研究成果発表に必要な旅費や論文校閲料等に使用する。
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Research Products
(2 results)