2012 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病合併症におけるジヒドロピラジン誘発性遺伝子障害の関与とその機構の解析
Project/Area Number |
23590160
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
石田 卓巳 崇城大学, 薬学部, 准教授 (10301342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 忠敏 崇城大学, 薬学部, 教授 (80037598)
武知 進士 崇城大学, 薬学部, 教授 (10222100)
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Keywords | ジヒドロピラジン類 / 糖化反応 / 酸化的ストレス / 細胞障害性 / グルタチオンバランス |
Research Abstract |
近年、糖尿病による合併症発症の要因の一つとして、血糖による生体分子の糖化が注目されている。グルコースなどの還元糖とアミノ基を有するタンパク質によって引き起こされる非酵素的反応 (メイラード反応) は生体内における代表的な糖化反応の一つであり、これによって生成する糖化産物(glycation products)は、生体内に数十種類存在すると言われている。これら glycation products と糖尿病合併症との関連性については不明な点が多いが、その解明は、合併症発症機構の解明に向け有益な情報を与えると考えられる。我々は、糖化反応の中間体であるdihydropyrazine類(DHPs)をモデル化合物として、哺乳動物細胞に対する影響を観察した。これまでの検討から、メチル化DHPである2,3-Dihydro-5,6-dimethylpyrazine (DHP-1)、 2,3-Dihydro-2,5,6-trimethylpyrazine (DHP-2)、および 3-Hydro-2,2,5,6-tetramethylpyrazine (DHP-3) が、ヒト肝癌細胞であるHepG2細胞に対して細胞障害性を発揮することが明らかとなった。そこで、DHPによる細胞障害の発症機構を明らかにするため、細胞内の還元型/酸化型 glutathione 濃度を測定し、その比(GSH/GSSG)を比較した。細胞障害が観察された曝露条件(各DHP 1 mM, 24 時間曝露)において、細胞内の還元型 glutathione 濃度に変化は認められなかった。これに対し、酸化型グルタチオン濃度は、DHP-3 処理においてのみ顕著に増加した。以上の結果から、DHP-3 による細胞障害の発症機構には、細胞内グルタチオンバランスの崩壊が関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、DHP による細胞障害の発症機構として遺伝子損傷を予想しその検証を行ったが、明らかにすることができなかった。そこで、本年度は、昨年度行った検討を再検証すると共に、交付申請書に記載したタンパク質の発現変動についても解析を行ったが、いずれの検討においてもDHP による明らかな変化を見いだすことができなかった。そこで、DHP による細胞障害がストレスに起因しているとの予想のもと、細胞内ストレス応答性の因子に注目し検討を行った。その結果として DHP-3 曝露時における酸化型グルタチオン濃度の変動を見いだすことができたが、これに至るまでに時間を費やしてしまったため、達成度に遅れが生じてしまった。さらに、グルタチオン濃度の変動を観察した条件も DHP 1 mM、24 時間曝露のみであったことから、その他の条件でどのような変動を示すかを明らかにする必要があったと思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究から、DHP による細胞障害の発症に酸化的ストレスが関与する可能性が見いだされた。しかしながら、今回検討した条件が、DHP 1 mM、24 時間曝露のみであったことから、その他の曝露条件におけるグルタチオンバランスの変動を検証する必要があると考えられる。また、グルタチオンバランスの変動は酸化的ストレスの生物学的指標のひとつであるが、それのみで酸化的ストレスの発生を論ずることはできない。さらに、グルタチオンバランスの変動と細胞障害との間に、いかなる因子が関与するのかについても解明する必要がある。以上の観点から、今後は、酸化的ストレス応答性の遺伝子群に注目し、その発現変動を明らかにすることで DHP による細胞障害と酸化的ストレスとの関与を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、DHP による細胞障害発症に関与する因子の探索に時間を費やし、予定していた研究計画の一部を実施することができなかった。これに伴い、次年度への繰越額が発生してしまったが、この繰越額は、次年度の消耗品として使用する。特に、次年度は遺伝子の発現変動を中心として解析を展開するため、その試薬等に使用する予定である。本年度の研究費については、交付申請書に準じて使用し、研究の推進に努める。
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Research Products
(2 results)