2011 Fiscal Year Research-status Report
ケモカイン受容体CXCR7による原腸胚細胞集団運動制御の解析
Project/Area Number |
23590215
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福井 彰雅 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 准教授 (80262103)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞集団運動 / 発生学・形態形成学 |
Research Abstract |
ツメガエルの中内胚葉細胞はxSDF-1 を強制発現させた細胞に向かって集団で移動する。この系を用いて,細胞集団運動に対するxCXCR7の影響を調べた。当初は,もしxCXCR7がxSDF-1受容体であるxCXCR4に対して阻害的に働くのであれば,xCXCR7を強制発現させた細胞の運動が阻害され,また,xCXCR7がxCXCR4の機能を増強するのであれば,細胞集団の運動速度や様式に変化がみられると予想した。ところが,実験結果は全く予想に反し,xCXCR7の強制発現によって細胞は集団だったものがばらばらに解離し,一つ一つの細胞が個別にxSDF-1 を強制発現させた細胞に向かって移動した。この結果はこれまでのCXCR7の機能に関する報告からは全く予想できなかった。そこで,この細胞解離がSDF-1依存的かどうかを調べるために,SDF-1タンパクの添加実験をおこなった。xCXCR7を過剰発現した中内胚葉細胞にhSDF-1タンパクを添加したところ,添加と同時に細胞は解離した。また,xCXCR7の情報伝達に必要なN末端やC末端を欠く変異体を強制発現しても細胞集団の解離は見られなかったことから,CXCR7存在下でのみSDF-1依存的に細胞間接着が変化することが示唆された。このような"早い","ケモカインによる"細胞解離の系はこれまで報告されておらず,全く新しい機能を発見したこととなる。細胞の集団運動において, 細胞は隣接する細胞とその接着性を微妙に調節しながら移動していく。今回観察された現象は,xCXCR7がこの細胞間接着制御に関与していることを強く示唆し,今年度はこの分子メカニズムに焦点を当てて研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定した計画はほぼ終了し、さらに予想と異なる全く新しい発見があった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予想に反して、CXCR7が細胞間接着に関与していることが示された。そのため、次年度は当初の計画に加えて、阻害剤やCXCR7の変異体を用いたCXCR7からの情報伝達についての分子メカニズムの解明をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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