2013 Fiscal Year Annual Research Report
トロポニンCのカルシウム親和性が不整脈の頻拍周期の決定に果たす役割の解明
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23590253
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 昌人 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30302110)
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Keywords | カルシウム波 / 遅延後脱分極 |
Research Abstract |
陳旧性心筋梗塞、肥大型心筋症、慢性心不全などの病的心筋においては、トロポニンCにおいてカルシウム親和性が亢進する。そこで、心筋伸展あるいはカルシウム増感薬であるSCH00013を加えることによるトロポニンCのカルシウム親和性の亢進が、カルシウム波の伝播速度と不整脈の頻拍周期にどのような影響を与えるかをラット多細胞心室筋において観察した。 ラット右心室より多細胞心室筋であるトラベクラを摘出した。張力は力トランスデューサーで、サルコメア長はレーザー回折法で、膜電位は微小電極法で、細胞内カルシウムはカルシウム蛍光色素であるフラ2を用いて記録した。カルシウム波と不整脈を誘発するために0.4秒間隔の電気刺激を30秒間行った。ミオシンATPase活性阻害薬であるbutane dione monoxime(BDM)あるいは10mMの高カルシウム液を心筋局所領域に潅流した状態で、トロポニンCのカルシウム親和性の変化が、カルシウム波の伝播、不整脈の発生とその周期に与える影響を観察した。収縮の不均一性によって誘発されたカルシウム波は、トロポニンCのカルシウム親和性亢進によるカルシウム波伝播速度を増加させた。更に、遅延後脱分極を増高し、不整脈を誘発し、誘発された不整脈の頻拍周期を増加させた。これらの変化はNADPH oxidase阻害薬であるdiphenyleneiodonium (DPI)によって抑制されなかった。一方、高カルシウム液の局所潅流によって誘発されたカルシウム波では、トロポニンCのカルシウム親和性亢進によるカルシウム波伝播速度の増加がDPIによって抑制された。 これらの結果より、トロポニンCのカルシウム親和性亢進は、収縮の不均一性を介して催不整脈に関与することが示唆された。
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