2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアにおけるAIFの生理機能および細胞死誘導の分子機構の解析
Project/Area Number |
23590260
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小坂 博昭 香川大学, 医学部, 教授 (60158897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 哲生 香川大学, 医学部, 助教 (80444727)
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Keywords | 細胞死 / ミトコンドリア / カスパーゼ非依存性細胞死 / 膜結合様式 / 分子機序 / AIF |
Research Abstract |
Apoptosis-inducing factor (AIF)の生理機能に関しては、出芽酵母を用いて内在性AIFおよび外来性AIF(マウス由来)の生育に対する影響に注目して解析してきた。内在性AIFを欠損させた株では野生株に比べ生育速度が若干抑制されるが、欠損株に内在性もしくは外来性AIFを遺伝子導入することで生育速度が野生株と同じレベルに回復した。このことはAIFがエネルギー生成系もしくは生合成経路への炭素源の供給に何らかの影響を与えていることを示唆しているが、AIFを発現誘導した培地条件では細胞内のミトコンドリアが少ないため電子伝達系への影響を直接観察することは出来なかった。 AIFの細胞死誘導機構に関しては細胞死誘導の引き金となる膜からの解離機構について理解するため大腸菌発現系を構築し、大腸菌膜との結合様式について詳しく解析した。その結果、菌体を懸濁・破砕する際の緩衝液が低イオン強度(I = 8 mM)の場合、AIFは90%程度膜に結合していた。一方、高イオン強度下(I = 300 mM)ではAIFは膜から解離し可溶性画分に移行したが、同じ浸透圧のマンニトールを加えても膜からは解離しないことから浸透圧の影響はほとんど受けないことが示された。この結果から、AIFの膜への結合は膜貫通ドメインに依存せず、イオン結合に依存していることが示唆された。事実、AIFの結晶構造においてAIFの表面電荷は非常に正電荷が多いことから、次にpHを変化させた際の膜への結合能を調べたところ、正電荷が消えるアルカリ条件下では膜への結合能が顕著に低下することが示された。これらの結果から、AIFは膜貫通タンパク質ではなく自身の塩基性アミノ酸の正電荷と膜表面のリン脂質の負電荷によるイオン結合を介して膜表面に結合する膜表在性タンパク質であることが予想された。
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Research Products
(2 results)