2012 Fiscal Year Research-status Report
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23590271
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
村上 政隆 生理学研究所, 細胞器官研究系, 准教授 (10104275)
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Keywords | 上皮機能 / 傍細胞輸送 / タイト結合 / 血管灌流唾液腺 / 水輸送 / 細胞内骨格 / 細胞内信号 / 駆動力 |
Research Abstract |
共焦点レーザ走査顕微鏡により蛍光色素Sulforhodamine B(SRB,分子量520)の圧依存性傍細胞経路通過を観察した。光学顕微鏡レベルで毛細血管から管腔への移動を測定したのは世界初である。本年実施した研究は、1)高速共焦点顕微鏡にて1秒毎の3D画像を撮像し、種々の自律神経受容体を個別に刺激した場合のSRBの管腔出現を計測した(東京歯科大学 橋本・渋川・佐藤氏、日本大学 成田氏、福島氏と連携)。2)細胞間分泌細管の蛍光からbackground蛍光を差し引いたものを管腔内蛍光色素濃度、毛細血管内蛍光強度からbackground蛍光を差し引いたものを血管内蛍光色素濃度、両者の比=(管腔内蛍光色素濃度)/(血管内蛍光色素濃度)を用いて灌流液から唾液へ溶媒牽引によりシフトした蛍光色素として評価した。3) α1受容体刺激薬phenylephrine (0.5及び1microM)投与で、管腔内に用量依存的な蛍光信号の増加が観察され、水分分泌増加と一致した。4) isoproterenol単独投与(1microM)では血管圧の低下により水分泌がわずかに低下し、圧依存性経路を通過する色素量が低下した。5)phenylephrine(1microM)とXamoterol(1microM)によりα1とβ1受容体を同時に刺激すると管腔内の蛍光信号が増加した。6) 従来、経細胞水輸送をdye dilutionにより推定し腺レベルの分泌量から差し引き傍輸送水分泌を推定したが、500 Daltonの分子の移動から水分移動を評価できた。また、共焦点レーザ顕微鏡で腺房の3D画像の時間経過を観測できた。共焦点レーザ顕微鏡法の蛍光色素感度は分光器より低いが、同様の実験結果を得ることができた。今後本法を用い,血管系を含む唾液腺腺房系の構築を破壊することなしに、生きたまま、4D観測を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイト結合開放後30秒間に起こる現象について、共焦点顕微鏡での観察は成功しているが、一秒毎の管腔及び毛細血管の蛍光色素信号強度を多点で計測し、3D観察に時間経過の成分を加えて4D観測を完成させなければならない、これは膨大な時間とマンパワーを必要とするが、時間をかければ解決できる。 これまでの実験結果から傍細胞輸送の亢進(=タイト結合の開放)と細胞容積の減少が時間的に一致することが判明した。そして、細胞容積減少とタイト結合開放の間に細胞骨格の格子間隙の減少が電子顕微鏡により見つかった。しかし、この観察をタイト結合に結びつける直接的な観察がまだ得られていない。平成25年度は、この証拠固めを集中して行う。ことに、免疫電子顕微鏡法専門家の助力を得ることが可能になったので、その力を活用して細胞内f-アクチンとタイト結合の動きの情報を収集し、研究の完成を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験で分泌初期30秒以内に細胞容積減少が起こることと傍細胞輸送が活性化することの間に関連があることが確認された。そして細胞容積減少は細胞内骨格の格子間隔を狭小にすることも確認された。平成25年度は、この証拠固めを集中して行う。ことに、免疫電子顕微鏡法専門家の助力を得ることが可能になったので、その力を活用して細胞内f-アクチンとタイト結合の動きの情報を収集し、研究の完成を目指す。具体的には 1)カルバコールのみで刺激した試料を液体He急速固定し凍結割断を行い、レプリカの電子顕微鏡観察を継続するとともに、これまでに得られレプリカのタイト結合を構成するクローデインタンパクの位置関係を計測し、タイト結合構成タンパクの動きを定量化する。2)クローデイン抗体を用い、タイト結合構成タンパクの位置関係がカルバコール刺激でどのように変化するかを電子顕微鏡観察し、上記の結果とすりあわせる。3)ZO-1タンパクの抗体を用い、タイト結合直下で細胞内骨格と連結するタンパクの位置関係がカルバコール刺激により変化するかどうかを電子顕微鏡観察する。4)積み残している実験として、組織カリクレインなどキニン系の物質の傍細胞輸送開始への関与を蛍光物質の唾液放出測定により検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験では、チオペントタール麻酔下に雄性ラットより顎下腺を摘出、唾液排出導管、動脈、静脈に挿管し、酸素ガスにて飽和した人工灌流液を拍動ポンプで動脈より定流灌流する。臓器は恒温チャンバーに設置し、37℃を中心とした温度制御の下実験する。導管カニューレには規格化したフッ素樹脂製の細管を用いる。傍細胞輸送は灌流液から唾液へシフトする蛍光色素量から評価する。サンプル希釈プロセスを工夫し、高時間分解の測定法を開発する。本研究では蛍光色素にはLucifer YellowあるいはSulfo-rhodamin Bを用い、現有マイクロプレートリーダおよび共焦点レーザ走査顕微鏡にて定量する。 研究費のうち物品費として、1)実験動物、2)灌流実験用薬品、蛍光色素、タイト結合関連タンパクの抗体、3)急速凍結切片作成用液体ヘリウム、液体窒素、4)共焦点レーザー顕微鏡による連携実験のための旅費(岡崎/東京歯科大)3日5回。5)学会発表のための国内旅費、外国旅費、6)その他として学会登録料 を使用する計画である。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] Magnetic resonance imaging of the temporomandibular joint in the mouse.2013
Author(s)
Yamasaki F, Imaizumi-Ohashi, Yokoi-Harayama M, Satoh K, Satoh K, Kondoh T, Murakami M, Seo Y, .
Organizer
The 90th Annual Meeting, the Physiological Society of Japan
Place of Presentation
Funabori, Tokyo, Japan
Year and Date
20130327-20130329
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