2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームの合併症予防を目指したキマーゼ阻害の意義
Project/Area Number |
23590313
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
高井 真司 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80288703)
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Keywords | キマーゼ / メタボリックシンドローム / 阻害薬 / NASH / 脳卒中 / 肝臓線維化 / 血管障害 / 炎症 |
Research Abstract |
メタボリックシンドローム合併症である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と脳卒中のモデル動物の経時的組織解析とキマーゼ阻害薬による効果を検討した。 ハムスターのNASHモデルは、メチオニン・コリン欠損(MCD)食を与えることで作製し、NASHの病態進行に伴ってキマーゼ活性が増加することを見出した。MCD食を12週間与えてNASHを形成させたのちに、キマーゼ阻害薬投与を開始し、阻害薬投与後24週後に治療効果を解析した。キマーゼ阻害薬投与前に増加していた血中ASTおよびALT、肝臓組織中の脂肪滴や線維化の面積、コラーゲン発現量が有意に増加していたが、キマーゼ阻害薬投与後は、これらのすべてが正常レベルまで低下した(Masubuchi et al., Hepatol Res 2013, 43: 970-978)。 脳卒中に対する予防効果は、脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHR-SP)の4週齢よりプラセボまたはキマーゼ阻害薬を投与開始した。投与後8週にはプラセボ群で血圧が220mmHg以上に増加したが、キマーゼ阻害薬はその血圧上昇には影響しなかった。しかし、血管組織中のキマーゼ活性は、プラセボ群で有意に上昇したが、キマーゼ阻害薬群では抑制され、血管内皮機能障害が有意に予防されていた。また、生存期間に対する影響を検討した結果、キマーゼ阻害薬は血圧を低下させないが、脳卒中を起こして死亡するまでの期間を有意に延長させた。これらの結果は、第36回日本高血圧学会総会および第124回日本薬理学会近畿部会にて報告し、J Hypertensに受理された(2014年3月29日)。 キマーゼ阻害薬は、メタボリックシンドロームの合併症に対して有用な薬物になることが期待される。
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