2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590316
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
竹村 基彦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70207009)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生理活性物質 / ヒスタミン / ECL細胞 / ヒスチジン脱炭酸酵素 |
Research Abstract |
今年度はまず、ヒスタミン/メチルヒスタミンの定量系の構築を開始した。計画書に記載の通り高速液体クロマトグラフィーポンプ、蛍光検出器、データ処理装置を購入し、これらを組み合わせてヒスタミン・メチルヒスタミン測定装置を接続した。Nishiboriらの方法によりヒスタミン、(N-tele) メチルヒスタミンの標準品をホウ酸酸性下2-メルカプトエタノール存在下でo-フタルアルデヒドと反応させて蛍光体に変換することにより、310nmの励起波長、375nmの検出波長で蛍光検出器により検出可能となった。蛍光体への変換率の算出のためには生体内には存在しないメチルヒスタミンの異性体(N-pros体)の既知量を加えて内部標準物質とした。Kaszibaらの報告を参考に展開液組成、流速などを調整した。60mMリン酸二水素カリウムと0.4%トリエチラミンの緩衝液とアセトニトリルとメタノールの混合液を送液相とし、分離に逆相C18カラムを用いて定常濃度、定流速で展開する事によりこれら3つの物質を分離する事ができた。さらにマウス脳のホモジネートに(N-pros)メチルヒスタミンを加えて同様に蛍光体に変換し、HPLCシステムに注入した。脳内に存在する妨害物質と分離するため、さらに緩衝液と有機溶媒の比率を微調整し、検出条件の最適化を行なった。これによりヒスタミン及びメチルヒスタミンを検出する事ができた。この測定装置において標準物質のピークの高さとの比較により求めたマウス全脳のヒスタミン量のは文献の報告値とほぼ一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者の高速液体クロマトグラフィーシステム技術の習得・習熟に予想外の時間を必要としたため測定系の調整、最適化にとりかかるのが遅れた。現在は技術をほぼ習得し、測定が可能な状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に昨年度実施予定であった実験計画を実施する予定である。マウスに高速水浸ストレスを加え、胃粘膜でのヒスタミン増加、ヒスチジン脱炭酸酵素活性、ヒスタミン代謝酵素活性の変化を確認する。いずれも本年度に測定可能となった高速液体クロマトグラフィーを用いたヒスタミン・メチルヒスタミン定量システムを用いる。また、ヒスタミン含有細胞をヒスタミンに対する抗体を用いて免疫組織化学的に観察しどのような細胞種でおきているのかを確認する。ストレス付加マウスでの胃粘膜でのヒスチジン脱炭酸酵素の翻訳後修飾(切断)について、新たに抗体を作成し、ウェスタンブロットにより検討する。また、ラット胃粘膜からECL細胞の精製が可能である(Prinz, C. et al., Am. J. Physiol., 277, C845-855,1999)、ラット単離ECL細胞をTGF-αにより刺激するとヒスチジン脱炭酸酵素はウェスタンブロット上74kと54kの二種類の分子量の位置に認識される(Kazumori, H. et al., Am. J. Physiol., 286, G508-514)との文献を見出したので、マウスECL細胞の単離を行ない、ヒスチジン脱炭酸酵素、ヒスタミンメチル化酵素のECL細胞における変動を観察する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後は大型の設備・備品の購入計画はなく、来年度の研究費は論文作成/公開のための英文校閲の謝金、別刷印刷費以外は物品購入費(消耗品費)に充当し、酵素活性測定用試薬、ヒスタミン・メチルヒスタミン測定用試薬、実験動物などの購入に充てる予定である。
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