2013 Fiscal Year Research-status Report
老化組織におけるヘテロクロマチン構造の解析と新規バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
23590346
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
安達 三美 帝京大学, 医学部, 准教授 (10323693)
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Keywords | 老化 / プロテオミクス / バイオマーカー |
Research Abstract |
老化の研究は臨床研究、特定の長寿遺伝子にターゲットをあてたマウスの研究、培養細胞系を用いた分子生物学的研究など多岐にわたっていて注目を集めている。しかし老化細胞を見分けるユニバーサルなマーカーはまだ確立されていない。本研究では、replicative senescence(複製老化)を誘導したヒト胎児肺線維芽細胞(MRC5細胞, LF1細胞)と、継代数の低い若い細胞からタンパク質を抽出し、プロテオミクス[蛍光標識二次元デイファレンス電気泳動法(2D-DIGE法)→質量分析(MASS解析)]を行い、細胞老化で有意に発現レベルが増加したタンパク質を同定し、種を超えて、臓器組織の種類を超えて、ユニバーサルな新規の老化のバイオマーカーを探索することを目的とする。平成24年度までに、2種類のヒト胎児肺線維芽細胞(MRC5細胞、 LF1細胞)を用いてreplicative senescenceを誘導した細胞と、継代数の少ない細胞(若い細胞)からそれぞれ蛋白抽出液、細胞質分画、核分画、クロマチン分画を抽出し、2D-DIGE法でタンパク質を分離した。MRC5細胞、LF1細胞の両方で、老化細胞に強く発現しているタンパク質のスポットを切り抜き、MALDI-TOF MASSにて解析し、タンパク質の同定を行った。同定したタンパク質に対する抗体を用いて、Western blotおよび蛍光免疫染色法を用いて、明らかに老化細胞に多く発現し、肝臓や肺等の複数の臓器で、高齢マウスの方が、若いマウスより強く発現しているタンパク質を同定した。平成25年度では、その中で解糖系酵素であるアルドラーゼAに着目し、解析を行ったが明らかな老化との関連性は認められなかった。そこでさらにプロテオミクスの実験を行い、高齢マウスで強く発現している複数のタンパク質を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の一番の目標であった、アルドラーゼAと老化との関連性に関する解析は、否定的な結果で終わったため、老化の新規マーカーの発見に迫ることはできなかった。しかし、さらに解析を行い、個体老化に関連性が期待できる因子を新たに複数候補として挙げられたことが一番の収穫である。これにより、本年度の計画はやや遅れているが、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)同定したタンパク質に対する抗体を用いて、Western blotおよび蛍光免疫染色実験を行い、明らかに老化細胞に多く発現し、肝臓や肺等の複数の臓器で、高齢マウスの方が、若いマウスより強く発現しているか確認し、老化との関連性について検討する。 (2)同定したタンパク質の発現がそれぞれ、transcriptionalかposttranscriptionalな制御を受けて増加しているのか、解析を行う。いずれの場合でも、さらに詳しいメカニズムを解析する。 (3)培養細胞の系を用いて同定したタンパク質のsiRNAによるノックダウンを行い、細胞老化が惹起されるか、抑制されるか解析し、それぞれが老化とどのような関連性をもつか追求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、老化組織細胞に特異的に発現する因子をプロテオーム解析により同定し、老化の新規バイオマーカーを探索することを目的とした。平成23年度から25年度に蛍光標識二次元デイファレンス電気泳動法および質量分析を行った。老化細胞に特異的に発現しているタンパク質が多数同定され、その中で解糖系酵素であるアルドラーゼAに注目し解析を行ったが、明らかな老化との関連性は認められなかった。そこでさらにプロテオーム解析を行い、他の因子を同定したが、その後に行う予定のマウスの臓器組織の解析が出来なかった。そのためマウス実験に使用する予定だった金額が、未使用額になった。 新しく同定したタンパク質について、マウス臓器組織における免疫組織学的解析などを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(3 results)