2013 Fiscal Year Annual Research Report
複製フォークの進行、停止回復におけるBRCA1/HERC2の役割
Project/Area Number |
23590348
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
呉 文文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10434408)
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Keywords | HERC2 / 複製フォーク / BRCA1 / Claspin |
Research Abstract |
本研究ではBRCA1がHERC2を介した複製フォークの進行、回復に機能していることに着目し、BRCA1が細胞周期制御のメカニズムを検討した。BRCA1のE3リガーゼであるHERC2がMCM2リン酸化を促進することにより複製フォークの進行や複製起点発火を制御していることを明らかにした。免疫沈降にて内因性のHERC2はClaspinと複合体を形成していることを明らかにした。BRCA1の発現低下によってHERC2/Claspin複合体形成が阻害され、BRCA1はHERC2/Claspin複合体の維持に機能していることを明らかにした。HERC2はS期においてChk1, PCNA, MCM7, TopBP1など、複製フォーク複合体と共局在し、PCNAとも複合体を形成する。HERC2は複製複合体の構成因子であることを新たに分かった。SチェックポイントメディエーターであるClaspinの欠失に引き起こされるS期進行の停止はHERC2の削除によって解消できるBrdU/IdU で新生 DNA をラベルするコーミング解析法から、これは複製フォーク進行の遅延、異常複製起点の発火の解消によるものと明らかにした。その分子メカニズムとしては、HERC2が複製ストレスによりATRと結合し、ATRによるMCM2のリン酸化を促進することによって複製起点発火を誘導する一方、Claspinがこれらの作用を抑制して、HERC2/Claspin複合体が複製起点発火を制御していることを明らかにした。更に上記解析を進めた結果に基づき、BRCA1複合体がDNA損傷部位への集積分子メカニズムも検討し、今後の研究発展につながるような知見が得られた。
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