2011 Fiscal Year Research-status Report
高転移性ルイス肺癌細胞株が類洞様腫瘍血管を誘導する分子基盤の解明
Project/Area Number |
23590349
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
米倉 秀人 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80240373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 崇之 金沢医科大学, 医学部, 助教 (00374942)
吉冨 泰央 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80399039)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 癌転移 / 腫瘍血管新生 / 血管微細構造 / ルイス肺癌細胞 / 血管内皮細胞 / DNAミクロアレイ |
Research Abstract |
血管形成・新生は組織の発生や維持に必須なだけでなく、癌増殖・転移など多くの疾患に深く関わっている。血管内皮増殖因子(VEGF)の発見以来、血管研究の進展は目覚ましいが、未解明の部分がまだ多く存在する。たとえば、組織ごとに血管の微細構造が異なる分子基盤や、腫瘍血管微細構造の違いと癌転移との関連などはほとんど明らかにされていない。本研究では、血管微細構造の決定機構を明らかにするため、構造の異なる腫瘍血管を誘導する転移性の異なる癌細胞株が分泌する血管形成関連因子群を包括的に明らかするとともに、それら因子群に応答して異なった微細構造を形成するために働く血管内皮細胞側の遺伝子群を明らかにする。23年度は以下の成果が得られた。1. 高転移性と低転移性癌細胞株で発現に差のある血管形成関連因子(群)の解明(1) ルイス肺癌由来高転移性細胞株(H11)と低転移性細胞株(P29)を入手し、マウスに移植・転移腫瘍形成を行い、高転移性細胞の再度のセレクションを行うとともに転移能の確認を行った。(2) 高転移性株と低転移性株をマウスに移植後の腫瘍組織形成に伴う腫瘍血管の微細構造の形成過程の経時的な解析を行った。(3) 高転移性株(H11)と低転移性株(P29)からそれぞれRNAを分離し、DNAミクロアレイ法を用いて、両者で発現に差のある血管形成関連因子の解析を行った。2. 高転移性と低転移性腫瘍の血管内皮細胞での遺伝子発現の差の解明(1) 高転移性癌細胞株(H11)と低転移性細胞株(P29)をマウスに移植して形成させた腫瘍組織それぞれから、血管内皮細胞を分離する条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高転移性ルイス肺癌細胞株(H11)と低転移性細胞株(P29)を入手後、改めてマウスに移植・転移腫瘍形成を行い、高転移性細胞の再度のセレクションを行うとともに、転移能の確認を行ったため、その分の時間を要した。また、実際の腫瘍から血管内皮細胞を純度よく分離する条件を検討するのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 高転移性と低転移性癌細胞株で発現に差のある血管形成関連因子(群)の解明(1) DNAミクロアレイ解析を複数回行い、高転移性と低転移性癌細胞間で発現に差のある血管形成関連因子(群)を確実に同定するとともに、同定された因子(群)の発現をリアルタイムPCR法により検証する。(2) 同定した因子(群)が類洞様血管を誘導するかを、in vitro およびin vivoで確認する。類洞様血管の同定は類洞血管特異的マーカーであるMannose receptor(CD206)抗体を使用して行う。(3) 同定した因子を発現するレンチウイルスを低転移性細胞に導入してマウスに移植し、腫瘍内に誘導される血管の微細構造と癌転移への影響を解析する。2. 高転移性と低転移性腫瘍の血管内皮細胞での遺伝子発現の差の解明(1) 高転移性と低転移性腫瘍組織から分離した血管内皮細胞からRNAを抽出し、複数回のDNAミクロアレイ解析を行って両者間で発現に差のある遺伝子(群)を同定する。同定された遺伝子(群)の発現はリアルタイムPCR法により検証する。(2) 高転移性腫瘍内の血管内皮細胞で活性化されている遺伝子(群)を、レンチウイルスベクターを用いて初代培養内皮細胞に導入し、細胞の微細構造変化を解析する。(3) 同定された遺伝子の、網膜(連続内皮型)、肝臓(類洞様血管形成)、腎臓(有窓型血管形成)での血管形成時における発現を明らかにする。(4) 重要性が示された遺伝子の過剰発現用およびノックダウン用レンチウイルスを腫瘍組織に注入し、腫瘍血管の形成と癌転移への影響を解明する。(5) 過剰発現用およびノックダウン用レンチウイルスをマウス胎児や新生児の各組織に導入し、各組織の血管形成における上記遺伝子(群)の役割を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度支払予定金額は1,000,000円である。うち消耗品費として900,000円を予定しており、その内訳は、細胞培養および分子生物学実験用のプラスチック器具に300,000円、RNA分離・DNAミクロアレイ解析・DNAシーケンス・RT-PCR解析等用の分子生物学的実験用の試薬類に300,000円、高転移および低転移癌細胞株およびそれぞれの腫瘍組織から分離した血管内皮細胞の培養のための培地・血清・増殖因子の購入に200,000円、また癌細胞の転移実験および腫瘍細胞・血管内皮細胞分離のための実験用動物(マウス)に100,000円を予定している。また、旅費として学会での情報収集、研究成果発表のため100,000円(日本生化学会および日本分子生物学会、福岡、2名)を予定している。
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Research Products
(10 results)