2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590451
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浜田 淳一 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (50192703)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん転移 / 大腸がん / 肝転移 / ホメオボックス遺伝子 / HOX / 位置情報 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)HOXD8が大腸癌の肝転移に対して転移抑制遺伝子として働くこと、2)HOXD8を中心とした肝転移に対して抑制的に働く遺伝子発現ネットワークを明らかにすることである。本年度は、以下の成果をあげた。蛍光蛋白質tdTomatoを発現するヒト大腸がん細胞KM12SMを樹立し、ヌードマウスの盲腸壁、脾臓および皮下に移植した。In vivoイメージングシステムを利用して、生体内のおけるtdTomatoの蛍光シグナル(がん細胞)の検出を試みた。皮下移植腫瘍は、高感度でシグナルが検出された。しかし、盲腸壁移植腫瘍および脾臓移植腫瘍の検出感度は、各臓器が深部にあるためか、皮下移植腫瘍に比べ著しく低かった。蛍光から、より深部の検出に有効な発光システムに変更すべきであると考えられた。移植部位に形成された腫瘍組織(原発巣)および肝転移巣を採材し、HOXD8 mRNAの発現を解析した。その結果、肝転移巣のHOXD8の発現は原発巣と比べ低いことがわかった。これは、我々がヒト臨床材料を用いたこれまでの研究結果と一致していた。このことは、KM12SMのヌードマウス移植モデルはヒト大腸がんの肝転移におけるHOXコードの変化を反映していることを示唆している。すでに構築していたHOXD8発現プラスミドベクターをKM12SMおよびLoVo細胞に遺伝子導入し、HOXD8の発現を解析した。その結果、両細胞株ともに一過性にはHOXD8を過剰発現することが明らかとなった。一方、遺伝子導入細胞の選択培地で長期間培養するとHOXD8を過剰発現している細胞が減少していくことがわかった。HOXD8の過剰発現は、通常の培養条件(遺伝子導入細胞を選択するためにネオマイシンを含んでいるが)では生存に不利に働く可能性が考えられた。今後、HOXD8の発現を人為的に誘導できるシステムを構築していく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、ヒト臨床材料から得られた研究結果が我々のxenograftモデルで反映できることを確認すること、ならびにHOXD8の発現を人為的に変化させる方法の確立にあった。KM12SM細胞を用いる限り、前者は確認されたし、また後者においても過剰発現させることには成功した。ただし、HOXD8の発現抑制システムについては安定した結果を得る段階には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
HOXD8の発現を人為的に変化させるシステムでは、安定発現型ではなく発現誘導型のシステムの構築をめざす。また、生体内イメージングについては、蛍光検出系から、より深部の臓器まで観察可能な発光系の構築も試行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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Research Products
(1 results)