2011 Fiscal Year Research-status Report
S100A4の制御による膵癌、肺癌の浸潤、転移の抑制法の開発
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23590452
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀井 明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40249983)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 膵癌 / 肺癌 / 浸潤 / 転移 / S100A4 / メチル化 / ヒストン修飾 / Gemcitabine耐性 |
Research Abstract |
1)これまでにS100A4遺伝子の低発現細胞株に遺伝子を強制発現させ、発現の変化する遺伝子としてマイクロアレイ解析でピックアップされた遺伝子群を解析し、遺伝子発現とS100A4の発現量との関連を調べ、遺伝子導入コンストラクトを4遺伝子について作成した。また、遺伝子ノックダウンのためのRNAを作成した。2)S100A4遺伝子の発現はイントロン1のCpG部位のメチル化の状態で左右されると報告されているが、我々のこれまでの検討では、必ずしもメチル化だけでは説明のつかないがんもある。そこで、COBRA法で癌におけるメチル化の状態を調べ、脱メチル化剤である5-aza dC、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるTSAを用いて発現の変化の有無を調べた。その結果、多くの場合、CpG部位のメチル化が重要な働きをしていることが判明したが、ヒストン修飾が重要であるがんの存在も明らかになった。3)Gemcitabine(以下GEMと略記)は膵癌治療における重要な抗がん剤である。S100A4の高発現によりGEM感受性が低下する可能性が報告されていたが、その分子機構は不明である。そこで、GEM耐性の細胞株を樹立し、その分子機構を調べた。その結果、GEMの細胞内取り込みはきわめて早く、その排出も早いことが判明したが、さらに、細胞内でGEMを活性型に変換させる重要な酵素であるDeoxycytidine kinase(DCK)の不活性化が極めて高頻度に見られることも判明し、報告した。4)独自に開発したMethyl-CpG targeted Transcriptional Activation(MeTA)法とマイクロアレイ法を組み合わせたMeTA-Array法を開発し、これまでに知られていなかった膵癌においてメチル化で発現抑制されている多数の遺伝子を特定した。これらは膵癌のバイオマーカーの候補である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックダウン実験はまだ行うことができていないが、実験に用いるべき細胞のスクリーニングを終えることができた。また、遺伝子導入のコンストラクトの作成ができた。miRNAの実験などは遅れているが、GEM体制細胞株の体制分子機構の解明ができたこと、ならびに、膵癌において新規のエピジェネテッィックに発現が制御されている遺伝子を多数検出するなど、当初は予想していなかった成果が上がった。そのため、全体としては順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に、ノックダウンと遺伝子導入によりどのような影響が見られるかを検討する。この際には、細胞のproliferation、migration、invasionなどに注目して解析する。また、これまでにピックアップされた遺伝子の発現制御が転写因子によるのかそれともエピジェネテッィックな機序によるのかを見極める。また、膵癌の発生進展機構のバイオマーカーの開発を行い、早期診断に役立てるため、エピジェネテッィックな機序に加え、メタボローム解析を進める。ここでは、最も重要な抗癌剤であるGEMに対する感受性・耐性の機構についての解析も加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
S100A4遺伝子の低発現細胞株に遺伝子を強制発現させて発現変化を示す遺伝子としてマイクロアレイ解析でピックアップされた遺伝子群のうち、特に重要と考えられる4遺伝子のノックダウン実験と強制発現系による実験を行う。これらの実験では、特に、細胞のproliferation、migration、invasionなどに注目して解析する。また、GEM耐性機構の解析のため、親株と耐性株の比較検討をメタボローム解析により進める。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] DCK is frequently inactivated in acquired gemcitabine-resistant human cancer cells.2012
Author(s)
Saiki Y, Yoshino Y, Fujimura H, Manabe T, Kudo Y, Shimada M, Mano N, Nakano T, Fukushige S, Sunamura M, Ishida M, Motoi F, Egawa S, Unno M, Horii A, et al.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 421
Pages: 98-104
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Methylation of death-associated protein kinase (DAPK) is associated with cetuximab and erlotinib resistance.2012
Author(s)
Ogawa T, Liggett TE, Melnikov AA, Monitto CL, Kusuke D, Shiga K, Kobayashi T, Horii A, Chattejee A, Levenson VV, Koch W, Sidransky D, Chang X.
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Journal Title
Cell Cycle
Volume: 11
Pages: 1655 - 1662
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] New prevention strategy for inflammatory bowel disease using probiotic lactic acid bacteria and/or Bifidobacterium with specific adhesion to human intestine2011
Author(s)
Saito T, Yukishita R, Watanabe M, Katazawa H, Kawai Y, Horii A, Ikezawa F, Yamamura A, Ogawa H, Miura K, Shibata C, Sasaki I.
Organizer
The 10th Symposium on Lactic Acid Bacteria
Place of Presentation
Egmond aan Zee, the Netherlands
Year and Date
2011年8月28日-9月1日
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