2011 Fiscal Year Research-status Report
アドレノメデュリンーRAMP2・RAMP3システムの破綻が惹起する炎症病態の解明
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23590456
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
桜井 敬之 信州大学, 医学系研究科, 准教授 (80317825)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アドレノメデュリン / 受容体修飾因子 / 血管作動性ペプチド / 発生工学 / 疾患モデル動物 / RAMP |
Research Abstract |
多機能ペプチド、アドレノメデュリン(AM) の細胞内シグナルは、受容体活性調節タンパクRAMP2(R2)およびRAMP3 (R3) で規定される。我々はノックアウト(KO)マウスの解析から、R2が主に心血管系の恒常性維持に、R3が自然免疫応答と、異なる機能に関与する知見を得た。さらに両者の共通病態として炎症を見出した。本研究の目的は、この炎症現象を基軸としてAM-R2・R3機能の接点と相互の機能の解明である。(1)盲腸穿刺腹膜炎(CLP)、 LPS敗血症、酸化鉄誘発血栓、 DSS誘発大腸炎による病態解析を開始した。特にR3KO CLPモデルを重心的に進めた。その結果、R3KOマウスのCLP処理後生存率は、野生群に比べ20%程低くなる現象の再現性を、実験回数・検体数を増やし確認した。さらにCLP後、6,12,24,48時間ごとに、血清、腹腔細胞、血管、肺組織を採材して病理学的及び生理機能的解析を行った。R3KOでは、野生型に対してAST、ALS、Cr値の増加、血小板数減少、血清エンドトキシン値の増加、腹腔液内のエンドトキシンの高値傾向(検討中)、肺組織像で炎症増加傾向(検討中)を観察した。この時期におけるRAMPシグナル関連遺伝子発現の動態をqPCRで検討したところ、R3KOおよび野生型ともAMmRNA発現の一過的増加、さらに野生型でAMよりも高いR3mRNAの一過的増加を観察した。CLRL,R2はむしろ発現が減少した。この観察はR2、R3が異なる機能に寄与することを益々強く支持する結果である。(2) (1)で観察した現象と自然免疫細胞との関連を調べるため細胞生物学的解析を開始した。現在、腹腔動員Mφ,好中球を用いて、貪食能および走化性、殺菌性を検討している。(3) 今年度解析予定のR3KO/R2ヘテロマウス系統の育生とRAMPの挙動変化を追跡するためのベクターを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全容観察として盲腸穿刺腹膜炎(CLP)モデル、 LPS敗血症モデル、 酸化鉄誘発血栓モデル、 DSS誘発大腸炎モデルを用いて、R2,R3, R3Tgマウスの病態解析を広く開始したが、特にR3KOマウスCLPモデル解析結果の進展が大きかったため同解析を重点的に進めた。このため当初計画より全般的にモデル解析が遅れたが、得られた知見は今後の各モデルの解析の進展に重要となると期待され、かつ現在未知であるR3遺伝子の初期機能が何であるかを検討する方策がつかめた。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度(A)(個体レベル)急性期・慢性期炎症病態の全容観察IIH23のモデルマウス解析の継続と (1)R3KO/R2ヘテロ-B6コンジェニック系統マウスの解析を実施する。つまり実験群および対照群に関して、各種の炎症関連病態モデル:(1)盲腸穿刺腹膜炎モデル (2)LPS敗血症モデル (3)シュワルツマン現象反応 (4)酸化鉄誘発血栓モデル(5)ブレオマイシン誘発間質性肺炎モデル (6)DSS誘発大腸炎モデル(7)高脂肪食摂取誘発肥満モデル (8)関節炎モデルの作製を試みる。また作製した病態モデルマウスの一部は長期飼育を試み観察をする。この際、急性期炎症、慢性期炎症現象に注目する。これらの病態モデルマウスの病理学的及び生理機能的解析を、心血管機能、中枢神経、呼吸、消化管、代謝等について検討し、RAMP遺伝子欠損と過剰発現の相関を調べる。B)(分子・細胞レベル) R2・R3の応答の制御の解析 IIH23での病理解析に基づく病態を分子・細胞レベルで検討する。遺伝子改変マウス由来の肺胞および腹腔Mφ、血管内皮細胞(血管硬化、血管炎症モデル)、各臓器、および胎児から初代細胞を単離・培養する。AM、LPS等炎症誘起剤およびNFkB、MAPK等阻害剤、サイトカインに対するR2/R3の応答を形態、遺伝子発現、タンパク質変動にて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記した今後の推進方策に則り無駄なく適正に研究費を使用する。盲腸穿刺腹膜炎モデル、 LPS敗血症モデル、 酸化鉄誘発血栓モデル、 DSS誘発大腸炎モデルによる全容観察、病態解析を実施する遺伝子改変マウスの繁殖に使用するマウス購入、および飼育費に使用する。また分子メカニズム解明のため細胞生物学的、分子生物学的解析を実施するための細胞培養器具、培養液、試薬、プラスティック器具、ガラス器具の購入に使用する。加えて、現在までに得られた研究成果を学会で発表するための旅費を10万円、計上する。
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Research Products
(6 results)