2011 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用をめざした原虫主要表面抗原に対するヒトモノクローナル抗体の開発
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23590496
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 准教授 (10147168)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 寄生原虫 / ヒト抗体 |
Research Abstract |
本研究は、原虫感染症の中で特に重要な熱帯熱マラリア、赤痢アメーバ症、トキソプラズマ症などの疾患を対象とし、原虫の主要表面抗原に特異的で、原虫の宿主への感染やその後の増殖に阻止作用を発揮するようなヒトモノクローナル抗体を作製することを目的としている。今年度は、赤痢アメーバ表面に存在するガラクトース・N-アセチルガラクトサミン特異的レクチン (Gal/GalNAcレクチン) で免疫したヒト抗体遺伝子導入マウスに由来するハイブリドーマをスクリーニングし、Gal/GalNAcレクチンを認識する新たなヒト抗体産生クローンを1種類得た。抗体のクラスはIgMであり、L鎖はκ鎖であった。抗体遺伝子をクローニングし、germlineを解析した。また、精製した抗体で赤痢アメーバ栄養型虫体を前処理し、Chinese hamster ovary (CHO) 細胞への接着に対する影響を調べたところ、有意な抑制効果が認められた。一方、これまでに大腸菌系で作製しているトキソプラズマのsurface antigen 1 (SAG1) に特異的なFab断片(Tox203)について、産生クローンのH鎖Fd領域とL鎖の全長をコードする遺伝子から、VHとVκに相当する部分を切り出した。そして、IgG3用発現ベクターとκ鎖用発現ベクターにそれぞれ組み込んでCHO細胞に導入した。現時点では、十分量の完全抗体分子の発現は確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CHO細胞での発現系に関しては満足できる結果が得られていないが、ヒト抗体遺伝子導入マウスを用いた系では目的の抗体産生細胞が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製された赤痢アメーバの表面レクチンに対するヒトモノクローナル抗体について、その詳細な解析と改良を行う。また、CHO細胞による完全分子抗体の発現系について、問題の解決に努め、効率よい産生をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
専有研究室にはバイオハザード対策キャビネットが設置されていない。その購入資金を捻出するため、初年度の研究費の一部を次年度使用とした。次年度請求する研究費とあわせてその購入に充てる予定である。また、次年度の研究費は、培養関連の試薬類と研究補助の謝金にも使用する予定である。
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Research Products
(4 results)