2012 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用をめざした原虫主要表面抗原に対するヒトモノクローナル抗体の開発
Project/Area Number |
23590496
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Keywords | 寄生原虫 / ヒトモノクローナル抗体 / 熱帯熱マラリア / 抗体遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では原虫感染症の治療に応用できるようなヒトモノクローナル抗体の作製をめざしており、今年度は特に熱帯熱マラリア原虫に対する抗体の改良を試みた。標的分子は、メロゾイト表面に存在するMerozoite surface protein 1のC末端側19kDaの蛋白質(MSP1-19)である。これまでに得ている1抗体について、H鎖とL鎖のそれぞれ他方を、熱帯熱マラリア感染者の末梢リンパ球由来抗体遺伝子ライブラリーと組み合わせてシャッフルし、よりよい抗体遺伝子の組み合わせを検索した。H鎖とL鎖のそれぞれについて、500クローンずつを間接蛍光抗体法によってスクリーニングした。その結果、L鎖については14クローン(2.8%)が陽性であった。一方、H鎖については、陽性クローンは得られなかった。更に、MSP1-19を抗原としてELISAによる反応性を検討したところ、14クローン中の8クローンが陽性であった。これらのクローンについて、抗体遺伝子の塩基配列を決定し、解析を行った。V断片に関しては、6クローンがVκ3ファミリーであり、2クローンがVκ1ファミリーであった。J断片に関しては、Jκ1とJκ4が3クローンずつ、Jκ2とJκ5が1クローンずつであった。8クローン中、特に構造の異なる4クローンについてFabを精製し、MSP1-19に対する親和性を、Biacoreを用いて測定した。その結果、1クローンが高い親和性を示した。また、トキソプラズマのSurface antigen 1 (SAG1)に対するヒトモノクローナル抗体Fabの、完全分子としての哺乳動物培養細胞における発現についても検討したが、現在のところ十分な発現量は確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
哺乳動物培養細胞系での抗体産生について、現在のところ十分な発現量が確認できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳動物培養細胞系での抗体発現について、宿主細胞の変更や各種の条件検討を行う。また、熱帯熱マラリア原虫に関しても、抗体遺伝子導入マウスの利用について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養系での遺伝子組換え蛋白質発現のための試薬類、遺伝子塩基配列解析のための研究支援センターの利用料、研究補助者への謝金等に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)