2013 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用をめざした原虫主要表面抗原に対するヒトモノクローナル抗体の開発
Project/Area Number |
23590496
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
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Keywords | 寄生原虫 / ヒトモノクローナル抗体 / 熱帯熱マラリア原虫 / 赤痢アメーバ / 抗体遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は原虫感染症の中で特に重要な熱帯熱マラリアや赤痢アメーバ症などの疾患を対象とし、原虫の主要表面抗原に特異的で、原虫の宿主への感染やその後の増殖に阻止作用を発揮するようなヒトモノクローナル抗体を作製することを目的としている。今年度は、熱帯熱マラリア原虫メロゾイト表面に存在するMerozoite surface protein 1のC末端側19kDaのタンパク質(MSP1-19)を認識するヒト抗体Fab断片であるPf25について、完全分子への改変を試みた。H鎖可変領域遺伝子をpFUSE-CHIg-hG1とpFUSE-CHIg-hG3に、L鎖可変領域遺伝子をpFUSE-CLIg-hKにそれぞれクローニングした。そして、H鎖遺伝子とL鎖遺伝子を同時にChinese hamster ovary (CHO) 細胞に導入し、IgG1あるいはIgG3を産生させた。培養上清をELISAでスクリーニングし、抗体産生能の高いCHO細胞をクローニングした。更に無血清培地に馴化させた後、抗体を精製した。抗体のMSP1-19に対する親和性を表面プラズモン共鳴法で測定したところ、元のFab断片に比べて約20倍の上昇が認められた。また、抗体による熱帯熱マラリア原虫の増殖抑制効果について、培養系で予備的検討を行った。その結果、100 μg/mlの濃度において、非特異的IgG処理群に比べて虫体数が減少した。一方、赤痢アメーバの表面レクチンHeavy subunitを認識するヒトモノクローナル抗体Fab断片(CP33)についても、CHO細胞において完全分子のIgG1として産生させることに成功した。今後、これらの完全ヒト抗体分子は、原虫感染症の治療や予防への応用が期待できる。
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Research Products
(6 results)