2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロサテライト多型解析を応用したマラリア薬剤耐性アレル頻度の将来予測
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23590498
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
美田 敏宏 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80318013)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 熱帯熱マラリア / 薬剤耐性 / シミュレーション / 数理解析 / 耐性遺伝子頻度予測 |
Research Abstract |
本研究は、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性が今後どのように変化していくのかを予測することができる解析モデルの開発を行う。初年度の成果として、マラリア疫学の異なる地域から得られた約400株の遺伝解析をおこない、流行地域に固有な遺伝変数を定量評価することができた。具体的な解析項目及び結果は以下の通りである。(1)我々はこれまで薬剤耐性はアジア、オセアニア、アフリカ、南米の4地域で固有に進化してきていることを見出してきた。本年はそれぞれの地域(カンボジア、パプアニューギニア、ガーナ、ブラジル)からすでに得られている熱帯熱マラリア原虫におけるクロロキン、ファンシダール耐性と関連する薬剤耐性遺伝子(pfcrt、dhfr、dhps)の塩基配列決定をおこなった。対象地域における原虫遺伝子レベルで見た薬剤耐性はアジア、南米>アフリカ>オセアニアとなった。(2)さらに耐性型においては、各遺伝子6-11箇所の薬剤耐性遺伝子周囲マイクロサテライトのタイピング、ハプロタイプ解析をおこい、原虫の耐性進化系統への属性解明を試みた。解析は進行中であるが、当初の推定通り地理的な分布と耐性系統に強い関連が見られたほか、耐性原虫の他地域への移入を定性的なレベルで評価することができた。本検討は次年度も継続し、地理学的な(水平方向)耐性原虫のダイナミズムを決定していく。(3)一部の地域では12座位の中立的なマイクロサテライトマーカーを決定し、解析に不安定性を供与する多重感染(一人の患者に異なる遺伝子型の原虫が感染)を示す検体を除外した。また、これら各座位における中立進化を仮定したSTRUCTURE解析によって、地域における原虫集団構造の推定をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は薬剤耐性遺伝子の配列解析、およびマイクロサテライトマーカーの決定が中心となった。これらタイピングは順調に進んでいる。現在遺伝継承法則や集団遺伝的な原則から判断される正しい耐性遺伝子およびマイクロサテライトハプロタイプ決定をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の計画通り進展しており、今後の推進方策に変更はない。遺伝継承法則に矛盾しているデータ探しに労力をかけ、次年度再タイピングをおこなう。正確なハプロタイピングが信頼ある解析モデルの基本となる。このため、次年度は前半部をこの解析をおこない、後半では、遺伝統計学の理論を基軸とした集団遺伝・数理解析をおこなう方向である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に引き続いて、熱帯熱マラリア原虫の耐性遺伝子タイピングおよびマイクロサテライトタイプの決定を行う。引き続き、遺伝法則に照らし合わせたデータの詳細な解析および薬剤遺伝子の多型データベース作成を行う。このため、次年度の研究費の使用計画はタイピングにかかる試薬代に加え、データベース作成の人件費が必要となる。また大量データによる数理解析およびコンピューターシミュレーションを進めるため、解析コンピューターの購入、また場合によっては、プログラミングを外注する可能性もあり、この分の費用を計上した。
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Research Products
(16 results)