2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロサテライト多型解析を応用したマラリア薬剤耐性アレル頻度の将来予測
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23590498
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
美田 敏宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80318013)
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Keywords | マラリア / シミュレーション / 数理モデル |
Research Abstract |
本研究は、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性が今後どのように変化していくのかを予測することができる解析モデルの開発を行う。本年度の成果として、 ①アジア、アフリカ、南米のマラリア調査から得た熱帯熱マラリア原虫検体のうち、薬剤耐性関連遺伝子dhfr、dhpsの近傍6-11箇所のマイクロサテライトのタイピングをおこなった。この結果を用いてネットワーク解析を行い、耐性原虫の起源と地理的な拡がりを検討した。その結果、これまで使用されてきたすべての抗マラリア薬(クロロキン、ピリメサミン、サルファドキシン)において、東南アジアから出現した耐性原虫がアフリカへと広がっていくことがわかった。以上から、東南アジアの特定の地域を除けば、耐性原虫がde novoに出現する可能性は低く、耐性原虫頻度の未来予測を可能とする解析モデルの作成にあたっては、地域に出現する耐性原虫は移入のみによって起こると仮定できることが明らかになった。 ②中立マイクロサテライトマーカーを用いた集団遺伝学的パラメータの推定 ヒッチハイキングを受けていない中立マイクロサテライトマーカー11座位を決定し、原虫集団の有効な大きさを推定した。 ③エクセルを用いた前向きシミュレーションによる解析モデルの作成 ②で求めたパラメータおよび既知のマイクロサテライト突然変異率を用いてエクセルを用いた前向きシミュレーションによる解析モデルを作成した。組換え率は17kb/cM(どの染色体でもほぼ一定であり、hot spot も明らかになってきている)を用いた。このモデルでは、相対適応度を1-s とし、s を0 から1 まで変化させ各s に対して、シミュレーションをおこない耐性遺伝子頻度が実際のデータと最も一致するsを最尤値として決定することができる。今後実際のデータとの妥当性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にしてエクセルを用いた前向きシミュレーションによる解析モデルの作成を行うことができた。このモデルによって熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性が今後どのように変化していくのかを予測することが可能になることが期待される。3年目の課題として,モデルの妥当性および頑強性をしっかり評価、必要に応じて修正する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
モデルの骨子は作成できたので、まず現実データとの整合性を検討したい。現在、経年的な疫学データを持っているパプアニューギニアでのデータを用いて、モデルの修正を行う。さらに完成したモデルを用いて、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性が今後どのように変化していくのかを未来予測する。アルテミシニンの感受性低下(原虫消失時間延長)と関連する遺伝子変異がつい最近報告された(Takala-Harrison, S,PNAS, 2013)。われわれの開発したモデルを用いてこの遺伝子変異がどのように増加していくかを予測する。この目的のもとミャンマーでマラリア疫学調査を行い、薬剤耐性遺伝子のタイピングを行う。ミャンマーはカンボジアと並び薬剤耐性原虫出現のepicenterとされており、研究結果の対策への橋渡しが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外調査(ミャンマーを予定)および原虫遺伝子の解析が研究費使用の中心となる。また最終年度でもあり、総括さらには様々な形での結果公表も予定している。これらにかかる費用も見積もっている。
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Research Products
(4 results)