2011 Fiscal Year Research-status Report
緑膿菌の多剤耐性化プロセスに着目した新規制御法の構築
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23590512
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
間世田 英明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大政 健史 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00252586)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 多剤耐性 |
Research Abstract |
(1) MexTの出現に関与する遺伝子、タンパク質の同定(担当:間世田、大政) 8bpの欠失が起きることにより、緑膿菌はMexTタンパク質を発現し、薬剤を細胞外へ排出するトランスポーターを亢進することで、多剤耐性化する。そして、この現象を大腸菌でも再現することができていた。そこで、本年度はこの8bpの欠失を起こすのに係わる遺伝子を同定すべく、大腸菌の全遺伝子の網羅的欠失株Keio collectionに、緑膿菌-大腸菌shuttle vectorであるpMMB67EH (10 kb)に、緑膿菌の8bpの欠失の起こる領域と、その欠失後出現してきたORFにコードされている蛋白質のターゲット遺伝子であるmexEF (5 kb)遺伝子領域を導入した、8bp欠失アッセイプラスミドを構築し、導入した。現在、約2000株への導入を完了し、耐性株の出現効率を実際に測定した。その結果、その効率が著しく低下した形質転換体を数株選択することに成功している。これらの遺伝子は、大腸菌の機能未知遺伝子のものと、機能が明らかになっている遺伝子と双方が分離されている。後者の明らかになっている機能は、8bpの欠失に関わるものとはかけ離れているため、これらのものについても、今後の展開が期待できるものとなっている。(2) 候補遺伝子破壊緑膿菌の作成(間世田) (1)で候補に挙がった8bpの欠失に関与する遺伝子を緑膿菌ゲノム上で破壊し、その破壊株での耐性株の出現効率を測定するために、緑膿菌欠失変異株の作成を進めている。現在、3株作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に大腸菌でのアッセイ系を構築できている点。そのアッセイ系を使って、候補遺伝子のスクリーニングに成功している点。また、緑膿菌でも遺伝子の破壊の段階に至っている点。以上のことから、順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度行った(1)(2)の研究を引き続き行うとともに、本年度は以下の点についても検討を加える。(3) マイクロアレイによるクロラムフェニコールで高発現する遺伝子の同定 目的遺伝子が生育に必須な場合は、ノックアウト法である上述の(1)(2)では目的遺伝子の取得することはできない。そこで、マイクロアレイを用いた関与遺伝子の同定も試みる。すなわち、申請者は、薬剤の種類により8bpの欠失の効率が異なり、薬剤排出トランスポーターの良い基質ほどその効率が高いという知見を既に得ている。つまり、その条件下では、8bpの欠失に関与する遺伝子の発現は励起しているものと考えられる。そこで、最も効率の高かった抗生物質クロラムフェニコールで親株を処理し、未処理の細胞と遺伝子の発現パターンをマイクロアレイを用いて比較検討し、処理後に大きく発現してくる遺伝子の同定を行う。(4) ターゲットDNAへの変異の導入と欠失効率(間世田) 緑膿菌のnfxC変異株では特異的8bpの欠失によって、mexT遺伝子が出現し耐性化している。その欠失されている部位には、14bpからなるダイレクトリピートが重なりあい、かつ、重なっていない8bpが欠失することを確認している。そこで、欠失に14bpが全て必要なのか、あるいは、どの程度の重なり度が必要なのかなどを、DNAに変異を導入し検討する。これにより、本欠失がどのような配列のどの領域に最も依存しているのかが明らかとなると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に引き続き大腸菌を用いたアッセイ、すなわち4000株の形質転換とその分離、さらには、分離した形質転換体を培養しての耐性株の出現率の算出を行う。それには、4000株の大腸菌と4000株の形質転換体を取り扱うことになるので、5万枚程度のプレートが必要になる。そこで、そこに経費を使うとともに、その候補株の遺伝子解析にも費用を消費すると考えられる。なお、今回繰越金が発生した。アッセイの段階で、4000株の大腸菌の取り扱いを経費のかかる 4000株の形質転換体よりも効率の高めるため優先して処理したためである。本年度は、4000株の形質転換体をより多く取り扱うことになるため、繰り越し金を使うことになる。効率は大きく改善されているが、消耗品等のかかる経費は変わらない。
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