2013 Fiscal Year Research-status Report
緑膿菌の多剤耐性化プロセスに着目した新規制御法の構築
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23590512
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
間世田 英明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大政 健史 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00252586)
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Keywords | 抗生物質 / 薬剤耐性菌 / 遺伝子改変 |
Research Abstract |
殺菌剤(抗生物質や消毒剤)の利用とともに耐性菌が出現し、大きな社会問題となっている。現時点で全ての抗生物質や消毒剤の利用を制限することは難しく、消毒剤を利用しながらも耐性株を出さない制御法が確立されれば、人類に対する貢献度は計り知れない。従来、耐性菌の解析は、その耐性機構の解明が主で、“どのような機構で耐性菌が出現するのか”、その耐性化のプロセスに着目して研究を進めたものはほとんど存在しない。 本課題では、モデル微生物として容易に多剤耐性化を起こし臨床現場で常に問題となっている緑膿菌を用いて、緑膿菌の耐性化の過程を詳細に解析し、耐性化に必須となる遺伝子およびタンパク質を同定し、その阻害剤、つまりは耐性化の阻害剤or抑制剤を開発することを目的・目標として研究を進めた。まず、耐性化に係わる遺伝子の同定を行った。約4000株の変異株それぞれに構築したアッセイプラスミドを一つずつ導入して形質転換体を4000株作成し、アッセイを行った結果、耐性化のプロセスに関わる重要な因子の同定することに成功した。その一つを破壊することにより、大腸菌では耐性株がほとんど出現しなくなることを突き止めた。しかし緑膿菌では生育に必須であったため、破壊することはできなかったが、緑膿菌のその因子を大腸菌のその因子破壊株に対して相補することで耐性菌の出現が著しく回復することから、その因子が耐性株を出現させる因子である因子であることが明らかとなった。そこで、予定通り因子の取得同定に成功したので、計画に従い、その阻害剤の開発に着手した。現在スクリーニングのアッセイ系の確立を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究当初の計画では、以下に示す5つの項目に対して研究を進める予定であった。①MexTの出現に関与する遺伝子、タンパク質の同定 ②候補遺伝子破壊緑膿菌の作成 ③マイクロアレイによるクロラムフェニコールで高発現する遺伝子の同定 ④ターゲットDNAへの変異の導入と欠失効率 ⑤同定された遺伝子産物の阻害剤の開発検討。これらは全て、多剤耐性化へのプロセスに関わる因子、すなわち、抗生物質の分解のような耐性因子ではなく、その分解酵素を生み出すといった耐性化の因子の同定を進めるための研究計画であります。そして、期間内にその全てをクリアーし、予期せぬ難所も創意工夫で乗り越え、見事にその耐性化に関わる因子の同定に成功した。さらに、幸運にもその因子が全ての生物が持っている共通の因子であったことから、本結果が緑膿菌の耐性化機構に留まらず、生物が機能遺伝子を作り出すといった重要な機構の遺伝子である可能性も非常に強くでてきた。現在、計画に従い、その因子の阻害剤のスクリーニング系の構築も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、薬剤耐性株の出現させない夢の薬剤の開発にある。そして、耐性株を出現させる因子の同定に今回成功した。その因子の阻害剤を今後は取得していくことになるが、その為には、効率的スクリーニングを行うアッセイ系の構築と、膨大な薬剤のライブラリーをアッセイしていく事である。アッセイシステムに関しては、幾つか構築を進めている途中である。薬剤のライブラリーの検討できるよう、化合物ライブラリーを有する様々なグループにアクセスし、共同でその阻害剤、すなわち、耐性株を出さない薬の開発を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
緑膿菌の多剤耐性化のプロセスに関わる因子の同定を試み、当初の研究以上に研究を進めることができている。同定の結果、予想と異なり、膜タンパク質でなく、そのタンパク質は細胞内に存在するタンパク質であった。目的タンパク質の阻害剤の開発をペプチドで行うことを考えていたが、内在性のタンパク質であったため、低分子のものから開発を進めており、スクリーニング系の改良を行っている。その為に未使用額が生じている。 阻害する薬にスクリーニングを、ペプチドから低分子化合物に変更しているため、そのスクリーニング系の改良と実施の経費に充てる事としている。
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Research Products
(10 results)