2013 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1の発がん性を規定するPDZドメイン蛋白シグナル制御のメカニズム
Project/Area Number |
23590537
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
樋口 雅也 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50334678)
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Keywords | HTLV-1 / PDZドメイン / 白血病 / ROS |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病の原因ウイルスである。HTLV-1がコードするするトランスフォーミング蛋白Tax1はPDZドメイン結合配列を持ち、さまざまなPDZドメイン蛋白と結合、それらの機能を抑制することで、感染T細胞のトランスフォーメーションを引き起こす。本研究ではTax1によるPDZドメイン蛋白の機能阻害と細胞がん化について、その分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。Tax1はDlg1やScribといったPDZドメイン蛋白と結合することを我々は報告してきたが、今回新たなTax1結合PDZドメイン蛋白としてMAGI-1を同定した。MAGI-1はTax1でトランスフォームしたT細胞およびHTLV-1感染T細胞で発現が低下していることから、Tax1によるT細胞のトランスメーションにはMAGI-1の機能低下が必須であることが示唆された。さらにMAGI-1をノックダウンすると細胞内ROSが上昇し、逆にMAGI-1を過剰発現させると細胞内ROSが低下した。このことはTax1のPBMがTax1によるROSの上昇活性に必要である事実とも一致する。以上の結果より、MAGI-1は細胞内ROS量の制御に関わる分子であり、MAGI-1の機能不全はROSの異常な上昇を招き細胞のがん化に寄与している可能性が示唆された。 さらに我々はTax1PBM結合蛋白としてMPP7を同定した。MPP7の機能は全くの未知であったことから、MPP7ノックアウトマウスの作製し、その細胞内機能を明らかにすることを試みた。MPP7ノックアウトマウスは目立った異常は示さず、寿命も正常であった。しかしながらメスのノックアウトマウスでは骨量の有意な減少が認められた。このことからMPP7は骨組織の形成ないしは維持に重要な機能をもつことが明らかとなった。
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