2011 Fiscal Year Research-status Report
宿主遺伝子多型が抗HCV剤感受性に及ぼす機構の解明
Project/Area Number |
23590544
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
池田 正徳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30315767)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | C型肝炎ウイルス / IL28B / インターフェロン |
Research Abstract |
C 型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)/リバビリン(RBV)併用療法の有効性は約50%となっている。2009年に、日米の研究グループからIFN/RBV 併用療法の効果を予想する宿主因子としてIL28B (IFN-λ3 ともいう)遺伝子近傍の一塩基多型(SNP)が報告された(Ge et al. Nature2009: Tanaka et al. Nature Genetics 2009) 。本研究の申請後、2011年より、C型肝炎ウイルス(HCV)蛋白質のセリンプロテアーゼに対する阻害剤であるテラプレビルが臨床応用されている。テラプレビルもPEG-IFN/RBVと併用されるために、新しい三剤併用療法でもIL28B SNPが治療の予測因子であることが報告されている (Akuta et al. Hepatology 2010)。IL28B のSNP が治療効果にどのように寄与しているかに関してはこれまで明らかにされていない。新しい治療法においても、IL28B SNP違いにより、IFN応答が異なる機序を明らかにする本研究の目的は重要な意義を有するものと思われる。H23年度は、13種類の肝細胞株のIL28B遺伝子型 (rs8099917)についてdirect sequencing法で決定した。Li21, Li22, Li23, Li24, PLC, OUMS29, PH5CH8,及びHepG2の8種類の細胞ではメジャー型(IFN反応型)を、NKNT3, HuH-6,およびHuH-7の3種類の細胞ではヘテロ型 (IFN抵抗型)を、そして、HLEおよびHLFの2種類の細胞ではマイナー型(IFN抵抗型)の遺伝子型を示した。現在、direct sequencing法以外の方法でもIL28B遺伝子型を決定するため制限酵素法による遺伝子型の判定を実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はIL28B SNPの違いにより、IFN応答がことなる機構を明らかにすることである。H23年度はこの目的のためにIL28B SNPの異なる肝細胞株を用いた細胞モデルの開発に着手した。direct sequencing法にて13種類の肝細胞のIL28B遺伝子形(rs8099917)を解析して、8種類のメジャー型、3種類のヘテロ型、および2種類のマイナー型の遺伝子型を同定することができた。すべてのIL28B遺伝子型について、それぞの遺伝子型を有する肝細胞を同定し確保することができたのでH23年度の目的は達成できたものと思われる。また、direct sequencing法により同定できたIL28B遺伝子型が正しいかについて現在制限酵素法を用いて確認している。
|
Strategy for Future Research Activity |
H23年度にdirect sequencing法により判定できた異なるIL28B遺伝子を有する肝細胞株を用いて本年度は、レプリコン細胞の樹立を試みたい。はじめに、genome-length HCV RNA複製細胞よりも、可能性の高いsubgenome HCV RNA複製細胞の樹立を実施する。新しい、細胞ではHCV RNA複製効率が低いことが予想されるので、HCV RNAの複製を増強するような適応変異を導入したHCV遺伝子を用いてレプリコン細胞の樹立を目指す。また、HCV RNAの複製にはmiR122が必要なことがわかっているので、各細胞におけるmiR122の発現レベルを検討して、低い場合は強制発現することも検討する。HCV RNA複製の可能な、HuH-7細胞、Li23細胞のIL28B遺伝子型はそれぞれ、IFN抵抗型、IFN反応型であることがわかっているので、両細胞におけるIFN応答についても検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Li23,PH5CH8,およびNKNT3細胞ではコストの高い、初代肝細胞用のメディウムが必要なため培養関係の消耗品用に約70万円を予定している。また、研究テーマに関わる最新の情報の収集や、成果の発表のため、国内外の学会に参加する費用として約30万円を予定している。
|
-
-
[Journal Article] Anti-ulcer agent teprenone inhibits hepatitis C virus replication: Potential treatment for hepatitis C.2011
Author(s)
Ikeda M, Kawai Y, Mori K, Yano M, Abe K, Nishimura G, Dansako H, Ariumi Y, Wakita T, Yamamoto K, Kato N.
-
Journal Title
Liver Int.
Volume: 31
Pages: 871-880
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-