2012 Fiscal Year Research-status Report
宿主遺伝子多型が抗HCV剤感受性に及ぼす機構の解明
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23590544
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
池田 正徳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30315767)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / IL28B / IFN-λ |
Research Abstract |
IL28B(IFN-λ3)領域の1塩基多型(SNP)はインターフェロン(IFN)/リバビリン(RBV)療法の治療効果予測に関わることが報告されている。昨年度はヒト肝細胞株に対して代表的なIL28B領域のSNPであるrs8099917とrs12979860の遺伝子型をダイレクトシークエンス法にて解析した。両SNPsは検討した13種類の肝細胞株 (Li21, Li22, Li23. Li24, HepG2, PLC/PRF/5, OUMS-29, PH5CH8, NKNT3, HuH-6, HuH-7, HLE、およびHLF)のうち12種類で一致した。しかしながら、HepG2細胞においてはrs8099917ではIFN反応型であったのに対して、rs12979860ではIFN抵抗型となり乖離する結果となった。臨床例でもこのようなSNPsの乖離例が存在するのか、また、治療効果予測との関連はどのようになっているのかについても今後検討したい。 検討した13種類の肝細胞株のうちHuH-7およびLi23細胞ではHCV RNAの複製細胞を作成した (OR6細胞およびORL8細胞)。HuH-7細胞のIL28B領域のSNPはIFN抵抗型でありLi23細胞ではIFN反応型であった。IFN-λに対する感受性はHuH-7細胞で増殖するHCVではLi23細胞で増殖するHCVに比べて100倍感受性が高いことがわかった。このことは、肝細胞におけるIL28B領域のSNPがIFN-λに対するHCVの感受性に寄与している可能性を示唆しているものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに13種類の肝細胞株のIL28B領域のSNPsを決定した。代表的なSNPsであるrs8099917と12979860の遺伝子型の検討においてHepG2細胞ではrs8099917ではIFN反応型、rs12979860ではIFN抵抗型の遺伝型と乖離する結果となった。 HCV RNA複製細胞を用いた研究では、IL28B領域のSNPsが異なるHuH-7とLi23細胞を用いて、IFN-λに対する感受性の検討を実施した。IFN抵抗型のSNPを有するHuH-7細胞にくらべて、IFN反応型のSNPを有するLi23細胞ではIFN-λに対する感受性が100倍高いことを明らかにすることができた。 培養細胞のSNPsを検討においてrs8099917とrs12979860の遺伝子型が乖離する例が見出されたことを受けて、現在、臨床例においてもSNPs間で遺伝子型が乖離する症例がないかどうか検討する準備を進めている。 培養細胞を用いた基礎研究の結果を臨床研究につなげる準備ができたので、本研究の目的にむけて前進することができたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はH24年度の研究結果をもとに、IFN/RBV治療の結果のわかっているC型慢性肝炎患者の血液サンプルからIL28B SNPs (rs8099917およびrs12979860)を検討しSNPs遺伝子型の乖離例について治療結果との関連を検討する。また、13種類の肝細胞株のIL28B SNPsの検討結果からIFN反応型、IFN抵抗型の遺伝子型を有する細胞株が存在することがわかったので、HCVレプリコン細胞の作製、IFNシグナル応答性についての検討を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は耐震補修にかかわる引っ越しのため28万円の未使用額が発生した。H25年度は細胞培養関係の経費を中心として90万円、国内外の学会参加費として28万円を予定している。
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