2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590558
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 美佐子 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30332456)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 自然免疫 / Toll-like receptor / アジュバント / 核酸 / シグナル伝達 / エンドサイトーシス / 樹状細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
骨髄系樹状細胞のTLR3を介したシグナルは、IFN-α/βやIL-12p70産生、NK細胞活性化、CTL誘導などの細胞応答を誘起することから、TLR3リガンドのdsRNAはがんや感染症ワクチンにおける有望なアジュバント候補となっている。しかし合成dsRNAのpoly(I:C)は、細胞外からエンドソームTLR3と細胞質MDA5の両経路を活性化しシグナルを伝達することから、dsRNAの細胞内への運搬とシグナルは時空間的制御を受けると考えられる。本研究では、細胞外のdsRNAの取り込みと細胞内dsRNAセンサーへの配送機構およびシグナル伝達の時空間的制御を明らかにするため、TLR3経路のみ活性化する新規TLR3リガンドの開発を行った。TLR3のリガンド認識機構を考慮し、28種類のRNA誘導体を合成した。In vitro assayとして、1. HEK293細胞を用いてのTLR3を介したIFN-β promoterの活性化、2.細胞質内MDA5経路の活性化、3. マウス骨髄系樹状細胞によるサイトカイン産生について検討した。その結果、以下の特徴を有するRNA誘導体(RNA X)を得ることに成功した。1. poly(I:C)同様、Raftlin依存的エンドサイトーシスで細胞外からエンドソームTLR3に運ばれる。2. TLR3―TICAM-1を介してIFN-β産生を誘導する。3. 細胞質RIG-I,MDA5経路を活性化しない。4. マウス生体内投与での炎症性サイトカイン産生量はpoly(I:C)投与より少ない。細胞外からTLR3のみを活性化できるRNA誘導体はこれまで報告がなく、今回の化合物がはじめてである。RNA Xはアジュバント研究のみならず、シグナル解析においても有用なツールとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.新規RNA誘導体の構築が、申請者らのこれまでの研究成果を基に行われている。2.TLR3リガンドをスクリーニングするための知識、材料を保有しており、方法を確立している。3.申請者らの研究室で、アジュバント効果の評価系の確立を行っている。4.申請者らの研究室で独自にTICAM-1 KO, IPS-1 KOを作製し維持している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の2点に集約される。1. dsRNAによるアジュバント効果に必須のシグナル経路を同定する。 新規TLR3リガンドRNA X(TLR3シグナル活性化)とpoly(I:C)(TLR3, MDA5両シグナル活性化)によるアジュバント効果を、マウス移植がんモデルを用いて査定する。移植がんモデルは、エフェクター細胞がNK細胞の系(MHC class I陰性の腫瘍B16など)とCTLの系(MHC class I陽性のEL4, EG7など)を用いる。Wild-type, TICAM-1 KO, IPS-1 KOマウスにがん細胞を移植し、がんが一定の大きさになってから上記アジュバントを投与してがんの退縮効果を見、退縮のメカニズムにTLR3経路とRIG-I, MDA5経路いずれが重要であるか調べる。また、Raftlin-2のノックアウトマウスを作製しアジュバントの取り込みが活性に与える影響を明らかにする。2. 細胞外RNAの取り込みレセプターを同定する。 Poly(I:C)およびRNA Xの細胞内取り込みに必須の分子Raftlinは細胞膜で取り込みレセプターと相互作用すると考えられるため、Raftlinを用いた共免疫沈降法で取り込みレセプターの同定を行う。具体的には、C末に2種類のtagをつけたRaftlin分子をHEK293細胞あるいはHeLa細胞に強制発現させ、poly(I:C)刺激後tag抗体でタンデムアフィニティー精製し質量分析でRaftlin結合分子を同定する。質量分析は北大先端生命科学研究院の小布施研究室と共同で行う。同定された分子の中から細胞表面に局在する分子を取り込みレセプターの候補とし、dsRNAの取り込みへの関与を解析する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
dsRNA取り込み機構の解析から、ヒト細胞ではRaftlin分子がpoly(I:C)の取り込みに必須であるがマウスではRaftlin以外にRaftlin-2が関与することが示唆されたため、平成23年度内にRaftlin-2ノックアウトマウスの作製を着手する予定であったが、ES細胞の質が悪く順調に進まなかった。平成24年度のノックアウトマウス作製費として使用予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Phosphoinositide 3-kinaseγ controls the intracellular localization of CpG to limit DNA-PKcs-dependent IL-10 production in macrophages.2011
Author(s)
Hazeki, K., Y. Kametani, H. Murakami, M. Uehara, Y. Ishikawa, K. Nigorokawa, S. Takasuga, T. Sasaki, T. Seya, M. Matsumoto, and O. Hazeki.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 6
Pages: e26836
DOI
Peer Reviewed
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