2013 Fiscal Year Research-status Report
病院環境における薬剤耐性菌制御のリスクマネジメントに関する研究
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23590581
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
國島 広之 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (60339843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 浩一 東北大学, 大学病院, 講師 (10518400)
八田 益充 東北大学, 大学病院, 講師 (80528258)
青柳 哲史 東北大学, 大学病院, 助教 (50581609)
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Keywords | 感染制御学 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、施設調査で得られた検出状況の特徴をふまえた解析疫学結果に加えて、社会福祉施設および地域の歯科診療所も対象に調査を行った。 地域病院のICUにおいて、多剤耐性Acinetobacter baumannii complexによる集団事例を契機として、エアーサンプリングを行ったものの検出されず、空調設備からも検出されなかった。実地疫学による解析においては、保菌者及び医療従事者を介した感染経路が示唆された。Aspergillus flavusの空調設備汚染による集団感染事例について解析を行い、米国病院疫学学会を含むIDweekで報告した。 地域の社会福祉施設では、計38ヶ所を対象に調査を行った。中央空調を有している施設は78%、個別空調を有している施設は87%、手すりの清掃は毎日実施が45%、その他は不定期に実施していた。ネブライザー器具などの医療設備について処置毎に清掃している施設は16%であった。施設で把握している薬剤耐性菌などの頻度に違いはみられなかった。 歯科領域では、医療用マスクの汚染状況の実態と間接接触感染の危険性についてATPを測定することにより調査した。歯科医師が使用したマスクは10,000RLU以上、歯科衛生士は5,000RLU以上の高い汚染度が検出され、同等の飛沫感染対策が必要であることが示唆された. 病院環境では通常の空調メンテナンスは重要であるものの、薬剤耐性菌の伝播経路としては直接的な接触感染が重要である。一方で、社会福祉施設では、感染対策の必要な医療処置が行われているとともに、その対応は必ずしも十分ではない。歯科領域ではHBVなど血液媒介感染症の診断が行われていないものの、血液曝露のリスクがあることが示唆された。以上から、病院環境だけでなく、様々な施設における環境リスクアセスメントが必要なことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、病院の環境リスクアセスメントだけでなく社会福祉施設・歯科診療所などの環境を対象とし、研究期間内に検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
施設調査で得られた検出状況の特徴をふまえた解析疫学結果および、薬剤耐性菌の検査結果をもとに、医療施設および社会福祉施設におけるfloraリスクを明らかにする。 医療従事者の業務(ヒト・モノの流れ)プロセス評価など複数の対策によるBundle approachの手法を用いた影響について検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実施計画は順調に遂行されているものの、2013年10月に開催されたIDweekにおいて発表を行ったところ、当該研究について追加の検討が必要との前向きな指摘を受けたため、次年度に評価を行うことを目的として使用額が生じることとなったため。 環境リスクアセスメントに関する追加の解析実験を行う。
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Research Products
(1 results)