2011 Fiscal Year Research-status Report
出生コホート調査におけるインフォームド・コンセント体制の構築と評価手法の開発
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23590587
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 緑 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (90597121)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | インフォームド・コンセント / 出生コホート調査 / 疫学研究 / リサーチコーディネーター |
Research Abstract |
環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者リクルートは2年目を迎え、千葉県内の妊婦参加登録者数は1900名を超えた。参加候補者への調査説明は、母子健康手帳交付窓口の職員(保健師)、協力医療機関の職員(医師、看護師、助産師、事務職員)、大学から派遣したリサーチコーディネーターが行っている。 平成23年度は、この体制におけるインフォームド・コンセント実施状況の調査を次の方法で実施した。(1)自治体、医療機関職員への聞き取り調査(訪問および協議会) (2)医療機関職員へのアンケート (3)派遣コーディネーターの定期報告 (4)参加者からの問い合わせ・クレーム対応記録 (5)説明を聞いた妊婦へのアンケート (1)~(3)では、エコチル調査の調査内容がやや複雑で、説明担当者自身が参加条件や調査内容についての理解が不足していたため、わかりやすい説明資料の作成や説明担当者の理解を助ける必要が強く認識された。また、調査協力により医療機関の業務負担が増えていることから、参加者リクルートのみならず、調査進行全般にわたって医療機関を支援するための体制づくりやリサーチコーディネーター養成の必要性が明らかとなった。(4)~(5)では、この調査の主目的である「子どもが健やかに過ごせる環境作り」に妊婦の高い関心がみられた。また、参加登録後も調査内容に関する質問が散見されたことから、調査内容および得られたデータの活用について具体的にわかりやすく示す手法を開発する必要性が示された。調査期間が13年と長いことに対する不安も見られたことから、今後の追跡調査において参加者をいかにフォローアップしていくかという課題が見出された。 この結果を踏まえ、次年度では体制や説明手法の見直しを図り、その成果を評価するとともに、参加者の理解度についての調査方法を考案し、実施することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、エコチル調査1年目であるため、参加者リクルート実施体制の構築と調査進行に関わる自治体・医療機関の支援が急務であった。このため、説明担当者側の実施状況調査はおおむね進展しているものの、参加者側への調査が予備的な調査にとどまり、説明内容についての参加者の理解度等に関する調査は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度使用額が生じた理由としては、参加者についての情報収集が遅れたため、成果発表を先送りしたこと、およびエコチル調査遂行に伴う自治体・医療機関訪問において情報収集を行い、本研究独自の情報収集活動は行わなかったため、交通費がほとんど発生しなかったことがあげられる。 次年度は自治体・医療機関におけるエコチル調査実施状況について得られた情報に基づき、参加者リクルートの実施体制を再構築する。また、これまでの調査で明らかとなった医療機関でのエコチル調査進行を支援する必要性を考慮し、新たな支援体制構築とリサーチコーディネーター養成についても検討したい。このほか、参加者側の理解度、不安・不満等についての情報収集方法を考案し、実施するとともに、インフォームド・コンセント実施体制やリサーチコーディネーター活用の意義についての調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に計画していた参加者向けの調査実施と、自治体・医療機関への成果報告および参加者リクルート実施状況調査の継続、ならびに成果発表にかかる経費として、次年度の研究費を使用する計画である。
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