2011 Fiscal Year Research-status Report
ICTを活用した身体計測データの可視化と行動変容による健康管理の仕組み
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23590599
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森川 富昭 徳島大学, 大学病院, 准教授 (30274244)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | PHR / ICT / 健康管理 / 糖尿病 |
Research Abstract |
健常者及び糖尿病予備群に対する効果的な1次予防法の提供を目的とし、ICTを活用した健康情報収集・分析システムを運用し体重・血圧・歩数等の健康データの見える化を行うことで参加者の行動変容が起きるかの検証を行う。個人が常時携帯している情報通信端末は携帯電話であるため、携帯電話を活用して日々の体重や,体脂肪,血圧や歩行数などといった身体計測データを送信するICT健康管理システムの試験的運用を開始した。試験的運用の参加者は5施設76名となった。携帯電話を用いたデータ登録は、携帯電話のキャリア依存などの問題があり、1社にしか対応しておらず対象者が限定されてしまっていた。そのため、この問題を解決し、より標準的な仕組みとなるようにFeliCa機能付き歩数計を個人認証に用いた健康管理システムの開発を行った。これは、歩数計をFeliCaリーダに置き体組成計や血圧計の測定を行うと自動的に計測データがサーバに送信される仕組みである。個人は歩数計さえ持っていれば簡単に身体計測データが登録できるので、日頃の健康管理を簡単に実施することが可能となり、その結果、対象者を拡大することが容易となった。その結果、2012年3月時点で7施設196名の参加者で運用している。登録された健康データについて、参加者全体と計測継続者のデータ比較と月日によるデータ比較を行った。その結果、計測継続者は、「歩数が多い」「血圧が上下ともに高い」「BMIが低い」傾向があるため、運動の習慣があり体重の管理ができているにも関わらず血圧が高い人は健康管理を継続的に実施していることがわかった。また、4月から9月にかけては歩数・血圧・BMIともに改善されていたが、9月から2月にかけて測定当初の値に戻っていた。つまり、システムで健康管理を行うことで開始当初は個人が健康改善に向けて行動変容が起きるが、半年で健康改善の意識が下がることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ICTを活用した体重・血圧・歩数(運動量)等の健康データの見える化を行うためのシステム開発において、当初予定していた個人が常時携帯している携帯電話を個人認証に用いたシステムを利用するよりもFeliCa機能付き歩数計を個人認証に用いたシステムの方が、より多くの人が利用できることがわかった。そのため、計画以上に容易に身体計測データを測定し記録・管理できる仕組みを構築できたと考えられる。さらに、健康データの標準規格のガイドラインとして、CHA:Continua Health Alliance(健康機器や医療機器のデジタル化促進と通信規格の統一を目標とした業界団体)で作成されていることがわかり、CHAのガイドラインの調査を行い標準規格に対応したシステムの設計を行った。また、登録された健康データについては、参加者全体と計測継続者のデータ比較と月日によるデータ比較を行い、システムで健康管理を行うことで個人の行動変容がどのように行われるかの傾向が分析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度以降では実際に行動変容が起き、自己健康管理が良好な例について、特定健診を始めとする健診データと身体計測データを突合し,HbA1c(グリコヘモグロビン)、空腹時血糖、中性脂肪、HDLコレステロール、血圧といった検査結果から定量的に生活習慣病の発症リスクが軽減しているか検証する。また、臨床的に結果を評価するため、健康データの管理に加えて健診データや医療データの管理も検討し、健診データとしては特定健診結果のデータの取り込み、医療データとしては血糖測定器の測定結果のデータの取り込みについてのシステム設計も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、実際に行動変容が起き、自己健康管理が良好な例について、特定健診を始めとする健診データと身体計測データを突合し,HbA1c(グリコヘモグロビン)、空腹時血糖、中性脂肪、HDLコレステロール、血圧といった検査結果から定量的に生活習慣病の発症リスクが軽減しているか分析を行うため、分析用のPCの購入を行う。また、本研究の成果を学会発表を通じて行うとともに、CEATEC JAPANやNFC&SMART WORLDなどのイベントに参加しアピールを行う。
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