2013 Fiscal Year Annual Research Report
臨床経済学で用いられる効用理論に関する概念的,倫理的問題の体系的研究
Project/Area Number |
23590625
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
能登 真一 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00339954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 隆元 杏林大学, 医学部, 講師 (10232795)
|
Keywords | 医療経済学 |
Research Abstract |
本研究では,臨床経済学で用いられるもっとも重要なアウトカムである効用値について,その概念的な理論を整理するとともに,運用上で議論となる倫理的問題を検証した. 経済学で用いられてきた効用理論が医療の分野にも本格的に導入され始めたのは1980年代からであるが,当時は不確実性という概念を守りつつ,効用値を測定していた.つまり,standard gambleやtime trade-offという手法である.それが,現在の主流はtime trade-offを改良したlead time time trade-offや計量経済学を用いたdiscrete choice experimentとなっている.つまり,効用理論に純粋に基づいた効用値の算出ということよりも,より対象者にとって理解しやすい,ひいては測定しやすい手法を用いた研究が一般的となっていることがわかった. 効用理論を医療分野に用いることについては,依然として倫理的課題を指摘する意見が少なくないが,この指摘の本質は効用値の測定方法ではなく,一元的なアウトカムで医療の資源配分をするべきではないというものである. 一方で,日本国民の健康に対する価値観も変化してきていると考えられ,例えば,全国の1000人以上を対象にした調査では,理論的に死よりも悪い状態で長生きしたくないという国民が50%を超えたり,移動が困難な状態よりも死を選ぶという国民が20~30%存在した.この数値はイギリスでの調査よりも少ないものの,日本人の健康に対する価値観が「より健康な状態で長生きすること」にシフトしていると考えられ,医療の資源配分もそれら国民の意識を反映する必要があるものと示唆された.
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
[Journal Article]2013
Author(s)
Moriwaki K, Komaba H, Noto S, Yanagisawa S, Takiguchi T, Inoue H, Toujo T, Fukagawa M, Takahashi HE
-
Journal Title
J Bone Miner Res
Volume: 28
Pages: 395-403
-
-
-
[Presentation] Comparing the performance of the EQ-5D-5L with the EQ-5D-3L in stroke patients in Japan2013
Author(s)
Noto S, Izumi R, Moriwaki K, Igarashi A, Ikeda S, Fukuda T, Shiroiwa T, Kobayashi M, Saito S, Shimozuma K
Organizer
ISPOR 16th Annual European Congress
Place of Presentation
Dublin, Ireland
Year and Date
20131102-06
-