2011 Fiscal Year Research-status Report
HTLV-1インテグラーゼ特異的阻害剤の開発:天然由来物質ラメラリンの可能性
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23590641
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長谷川 寛雄 長崎大学, 大学病院, 講師 (00398166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩尾 正倫 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00100892)
上平 憲 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80108290)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 抗ウィルス薬 / 分子標的治療薬 / 成人T細胞白血病 / 新規抗がん剤 |
Research Abstract |
ラメラリンα20は、我々らが発見した海洋由来天然物である。その後インテグラーゼ阻害活性を持つ事が示唆されていたが、最近、我々はこの天然化合物をはじめて化学合成することに成功した。また、ラメラリンα20の誘導体が、末梢血単核球細胞(PBMC)や代表的T細胞白血病細胞にはほとんど影響を与えないものの、HTLV-1関連白血病細胞株に対し明らかな増殖抑制を引き起こすことを発見した。これらの発見から、インテグラーゼ阻害を基本メカニズムとする、ラメラリンα20由来の、あたらしい抗レトロウィルス薬の可能性を探求することが当研究の目標である。平成23年度に明らかにすることの目標は、(1)ラメラリンα20誘導体のHTLV-1感染細胞株に対する増殖抑制作用は直接的なものか、2次的なものか、(2)その作用はインテグラーゼ阻害作用に依存しているのか。またその作用はHTLV-1に対し特異的に起こるのか、がんなどの増殖細胞、あるいは白血病細胞をターゲットとして起こるのか、(3)結果的にどのような遺伝子発現や転写因子の変動あるいは遺伝子の修飾が起こるのか、新たな分子標的となりうるか、といった項目であった。ラメラリンα20誘導体によるHTLV-1関連白血病細胞に対する増殖抑制を細胞周期解析、アポトーシスなどの視点で評価する工程はほぼ終了した。シグナル伝達解析は抗がん作用のメカニズムを解析するためにも重要なステップであり、マイクロアレイ法による変動遺伝子の解析は重要なデータとなる。この工程もほぼ終了し、細胞増殖抑制に関わる標的分子の候補となった遺伝子やタンパクの発現変化について評価をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラメラリンα20誘導体のHTLV-1感染細胞株に対する増殖抑制作用がどのような遺伝子発現や転写因子の変動の結果起こるのかを把握するステップは、抗がん作用のメカニズムを解析するためにも重要である。これまでにマイクロアレイ法による変動遺伝子の解析によって重要(と思われる)な遺伝子変動を捉えることができたため、ほぼ順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ法による変動遺伝子の解析によって重要(と思われる)な遺伝子候補を発見できたことから、標的分子の機能がインテグラーゼ阻害や抗がん作用に真に寄与しているかを確認する作業を行っていく。siRNAの手法を用いて標的分子のノックダウンをおこない、細胞増殖抑制能の変化、細胞増殖に関わる遺伝子や癌抑制遺伝子の変化などを評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の経過より、siRNA関連試薬、PCR関連試薬、トランスフェクション試薬などの試薬購入を行う予定である。
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Research Products
(4 results)