2013 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌個別化診断を目標とする新規エストロゲンシグナル経路の解析と検査法の開発
Project/Area Number |
23590658
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丹羽 俊文 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90218248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 慎一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60144862)
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Keywords | 乳癌 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / エストロゲン / 臨床検査 / 個別化治療 |
Research Abstract |
25年度は,膜型エストロゲン受容体(ER)とestradiolの6位に量子マテリアルQdotを結合した膜型ER特異的リガンド(Qdot-E2)との相互作用を視覚的に確認するとともに,膜型ERのホルモン療法耐性への関与について検討した。 ERE-GFPレポーター遺伝子を安定導入したMCF-7-E10細胞に担体であるQdotのみを添加し,共焦点顕微鏡を用いて観察するとその赤色螢光はまばらで集塊状に分布していたのに対し,Qdot-E2添加時にはリガンドに反応したGFP陽性細胞を囲むように細胞膜に沿ってQdotの赤色蛍光が確認された。さらに,GFPを結合しかつ核移行ドメイン配列を欠損させたER遺伝子ベクターGFP-ER(ΔNLS)を作成してMCF-7細胞に導入し,この細胞にQdot-E2を添加したところ,ERの緑色蛍光とQdotの赤色蛍光が重なっている像を観察することができ,膜型ERとQdot-E2が結合していることが示された。また,ERα遺伝子よりリガンド依存的活性化領域のみを切り出しmammalian one-hybrid assayを行うことにより,Qdot-E2が核内に移行していないことを機能面からも確認した。 引き続き,本研究室でホルモン療法耐性モデルとして樹立されたエストロゲン枯渇耐性(ER陽性)株を用いて膜型ERの枯渇耐性への関与について検討を加えた。各細胞画分におけるERαの分布を比較したところ,耐性株では膜画分におけるERαの分布比(膜/核)が2-3倍上昇しており,Qdot-E2添加時には親株より低濃度で増殖応答が見られることを確認した。この結果より,エストロゲン枯渇状態下では低濃度のリガンドを有効に利用するためERαの核内から膜への移行が促進されていると考えられ,膜型ERは枯渇耐性機序にある程度関与していることが推測された。 現在投稿論文準備中である。
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