Research Abstract |
本年度は、肝性リパーゼ(HL)活性、リポ蛋白リパーゼ(LPL)蛋白量と、血清脂質、肝機能、肝線維化マーカー、高分子アディポネクチンなどとの相関関係の解析にとり組んだ。対象はアルゼンチン人の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を疑われた42名であった。 対象症例は男性/女性=14名/28名, 年齢50.1±10.3歳,BMI34.3±6.4kg/m2, 総コレステロール 209±40 mg/dl, トリグリセリド 182±80 mg/dl, HDL-コレステロール 42±8.2 mg/dl, 血糖値115±37 mg/dlであった。HL活性はヘパリン静注10分後の血漿を用い、以前に報告した比色法で測定、LPL蛋白量は血清を試料とし、サンドイッチEIA法で測定した。HL,LPL,高分子アディポネクチンと、血清脂質、AST,ALT,ヒアルロン酸、typeIV collagenとの相関を検討した。 その結果、HL活性は、HDL-Cと逆相関傾向(r=-0.29 p=0.08)を示したが、AST,ALT,ヒアルロン酸、typeIV collagen, 高分子アディポネクチンとは有意な相関を示さなかった。一方、LPL蛋白量は高分子アディポネクチンと正相関(r=0.33, p<0.05)したが、 AST,ALT, ヒアルロン酸, typeIV collagenとは相関しなかった。そこで、高分子アディポネクチンと上記マーカーとの関係を検討した。その結果、AST,ALT, typeIV collagenと逆相関した(それぞれr=-0.39, p<0.05; r=-0.42, p<0.01; -0.41, p<0.05)。 現時点ではLPL,HTGLとも肝酵素変動や線維化マーカー変動との明らかな相関を示していない。一方高分子アディポネクチンはそれら因子との良好な逆相関を示した。
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