2012 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎の予測因子としての脂質代謝酵素測定意義の樹立
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23590663
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小林 淳二 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60302577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 俊英 金沢大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20251944)
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Keywords | HTGL活性 / NAFLD Activity Scor / NASH |
Research Abstract |
今年度は、HTGL活性と脂肪肝患者の肝生検の線維化程度との関係を検討した。 対象はa)アルゼンチン人の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を疑われた42名。 対象症例は男性/女性=14名/28名, (年齢50.1±10.3歳,BMI34.3±6.4kg/m2, 総コレステロール 209±40 mg/dl, トリグリセリド 182±80 mg/dl, HDL-コレステロール 42±8.2 mg/dl, 血糖値115±37 mg/dl)。この中で、男性については症例数が少なく今回は女性のみの解析結果を示す。肝生検を施行し、Steatosis gradeを 1.mild(n=5) 2. moderate(n=10) 3. severe(n=10)の3段階に分類し、ヘパリン静注後(PHP)HTGL活性との関係を調べた。各群における代謝指標の平均値±標準偏差と一元配置分析の結果は、それぞれ、年齢 54.8±10.6歳, 52.8±5.1歳, 43.8±11.1歳(P=0.037); BMI 32.1±3.8kg/m2, 37.5 ±9.5 kg/m2, 35.2± 5.7kg/m2 (ns); 腹囲104±12 cm, 109±12cm, 106±8.7cm (ns); AST 42±33 IU/L, 35±22 IU/L, 41±16 IU/L (ns); ALT 48±24 IU/L, 48±37 IU/L, 58±46 IU/L (ns); HTGL活性124±38U, 165±58U, 163±41U(ns)であった。この結果からSteatosis gradeによるHTGL活性は有意な差がないことが示された。またBruntらの提唱したNAFLD Activity ScoreとHTGL活性との相関性はr=0.22, p=0.35(n=17)と有意相関はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予測因子としての脂質代謝酵素測定意義の樹立であり、当施設内の消化器内科専門の研究者を本研究の分担研究者として推進していく計画であった。その分担研究者の予期しない退職、転出などから、急遽、NASHの症例を有する別施設との共同研究という形で研究を遂行することに方針を変換した。海外の施設と共同研究という形で、脂肪肝を有する患者の肝臓の生検所見とHTGL活性との相関性を検討してきた。当初の目的である肝臓の生検所見とHTGL活性との関連性の検討には着手することが出来た。しかしながら、解析結果は予想に反し、NASHの有無とHTGL活性との明らかな相関性は見られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
海外施設との共同研究の結果はNASHの有無とHTGL活性との関連性を示すものではなかった。この点について国内で脂肪肝の肝生検を行っている施設との共同研究を行い、検証する。一方で、HTGL活性という指標そのものが肝臓からのHTGL蛋白発現を正確に反映していない可能性も残されており、そのために新たにHTGL蛋白量測定のための正確な系の確立をすすめる。具体的には現在、ヒトHTGLに対する少なくとも2つのモノクローナル抗体の獲得とそれらを組み合わせた、サンドイッチEIA系の確立である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は今回の研究の最終年度にあたり、予定請求額は120万円である。 上述したHTGL蛋白測定系の確立のための基礎検討が必要であり、血清脂質測定、LPL蛋白量測定、高分子アディポネクチン濃度測定にそれぞれ5万円、30万円、35万円、 国際学会も含めた学会発表のための交通費、宿泊費として35万円、その他15万円計上する。
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Research Products
(10 results)