2013 Fiscal Year Annual Research Report
間質性肺炎疾患におけるリン脂質代謝異常の解析と質量分析による検査法の開発
Project/Area Number |
23590665
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
日高 宏哉 信州大学, 医学部, 准教授 (10362138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 孝行 信州大学, 医学部, 教授 (80238815)
本郷 実 信州大学, 医学部, 教授 (40209317)
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Keywords | リン脂質 / MALDI-TOF MS / 肺胞気管支洗浄液 |
Research Abstract |
間質肺炎疾患群の診断や病態把握に用いられる気管支肺胞洗浄液(BALF)中の可溶成分には、肺サーファクタント由来の脂質が含まれるが、ヒトBALFの脂質組成は十分に明らかにされてない。本研究では、マトリックス支援イオン化飛行時間型質量分析計 (MALDI-TOF MS)を用いBALF中リン脂質分子種の測定系を構築した。質量スペクトルより、BALF中に特徴的なリン脂質のピークとして、ホスファチジルコリン(PC)で脂肪酸側鎖にパルミチン酸(C16:0)とミリスチン酸(C14:0)を持つPC(C16:0/14:0)とジパルミトイルPC(C16:0/16:0) が検出された。さらに、PC(C16:0/18:0~3)、PC(C18:0/18:0~3)、PC(16:0 または C18:0/20:4)の12種類のPC分子種が検出された。また、リゾPC(LPC)分子種のLPC(C14:0~C20:4)が7種類、スフィンゴミエリン;SM(C16:0)が検出された。これらの分子種は、MALDI-TOF-TOF MSによるMS/MS分析で同定された。 BALFおよび血清中のPCおよびLPC分子種の組成をMALDI-TOF MSにより比較検討した。血清では、PC(C16:0/14:0)とPC(C16:0/16:0) はほとんど検出されず、BALFでは、PC(C16:0/18:1)、PC(C16:0/18:2)などのパルミチン酸(C16:0)を含むPC分子種が血清中の組成比率より高値に検出された。また、LPCは血清中と同様にLPC(C16:0) が主なピークであったが、LPC(C16:0)/PC比は、血清中の組成比に比べると低値であった。BALF中のリン脂質組成は血清中組成と異なり、肺サーファクタントや肺胞細胞のリン脂質代謝異常を捉える指標となると考えられた。
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Research Products
(9 results)